4月29日からシリーズでお伝えしている鹿児島県内のSDGsの取り組み、30日は屋久島からです。17項目の目標の中には「(7)エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「(14)海の豊かさを守ろう」「(15)陸の豊かさも守ろう」といった環境と関わるものもあります。世界自然遺産に登録されている屋久島では、こうした目標の達成に取り組みながら30年後も豊かに生きられる持続可能な島づくりを目指そうという取り組みが進められています。屋久島支局の大内記者の取材です。
(イマジン屋久島代表 福元豪士さん)「まずは屋久島を子どもたちに残したいという思いがすごく強い」屋久島出身の福元豪士さん(31)。屋久島環境文化財団のインストラクターや親子で参加する環境教育を行うNPO法人の代表理事などを務めています。
そして去年、住民が主体となって持続可能な屋久島づくりについて考えるプロジェクト、「イマジン屋久島」が県の委託を受けてスタート。福元さんはその実行委員会の代表となりました。
プロジェクトの中心を担うのは、20代から40代までの29人。屋久島が世界自然遺産に登録されてから30年近くが経とうとする中で、次の30年後も持続可能な屋久島を実現するにはどうしたらいいのか?中高生も含む多くの住民にアンケートをするなどして意見を募り、議論を重ねてきました。
また、昔を知る人たちから話を聞くなどして、島の歴史や先人たちが大切にしてきた暮らしについても学んできました。
そうやってまとめたビジョンマップには、SDGsの17の目標のうち「7」などに相当する島の豊富な水資源を活用して環境負荷を減らすことや、「14」や「15」などに相当する自然と調和した伝統的な暮らしや文化を後世に残すことなどが目標として盛り込まれました。そして今月、町内の全ての家庭に配られました。
このビジョンマップをどのような具体的な取り組みにつなげていくのか?議論も始まっています。
(福元さん)「まずは子どもにこういう島にしてって言うんじゃなくて、大人が作っていく、背中を見せていくということが、本当に大切なことだと思っている」
この日、福元さんは島の南側の平内集落を訪れ、住民にSDGsへの理解を深めてもらうためのイベントを開きました。始まったのは4つのチームが対戦するボードゲーム。
限られた資源を使ってそれぞれのチームが順番に料理や工業製品などを作り、作ったものに応じてポイントがもらえます。これを繰り返す中で、資源を使い果たすことなくどれだけ多くのポイントを得られるか競います。ゲームを通じて持続可能な社会の在り方について考えてもらうのがねらいです。
油断すると資源はすぐになくなってしまいます。きちんと手元に残していくのは簡単ではありません。
ゲームを通じて資源をやみにくもに使うのではなく、きちんと計画し、再利用していくことが大切になると痛感させられました。
(福元さん)「SDGsって特別なことじゃない。今までの自然とともに生きてきた暮らし、その知恵をしっかりと子どもたちに伝えたり大人が学んでいくことが大事」
まずはSDGsを身近に感じてもらいたいと、動き始めた福元さんたち。30年後も豊かで持続可能な屋久島を目指す挑戦は始まったばかりです。