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環境に優しい燃料電池自動車 普及の現状と課題

水素と酸素を燃料として走行し、二酸化炭素を排出しない地球にやさしい車として注目を集める燃料電池自動車。普及へ向けた現状と課題、そして今すぐできる環境に優しい運転方法について取材しました。

鹿児島市は、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティかごしま」を掲げていて、力を入れている取り組みの一つが燃料電池自動車の普及です。

燃料電池自動車は、水素と酸素の化学反応によって発生した電気で走る車で、排出されるのは水だけ。大気汚染の原因となる有害物質や二酸化炭素を出さないため、地球温暖化対策に有効とされています。

トヨタ自動車が開発した新型の「MIRAI」は、量産車として世界で初めてのセダン型燃料電池自動車として、去年12月、販売が始まりました。販売会社は、災害時に電気を供給できることも注目を集めている理由にあげます。

燃料電池自動車の特徴の一つが、燃料補給の利便性です。よく比較の対象になる電気自動車は、充電するのに急速充電でもおよそ30分が必要で、航続距離は300キロから400キロほどです。
これに対して、燃料電池自動車は、水素の補給にかかる時間はガソリンスタンドと同じ3分ほどで、ガソリン車並みの600キロ以上の走行が可能です。

環境に優しく、災害時にも役立つ燃料電池自動車ですが、県内でこれまでに販売された数はおよそ50台で、昨年度1年間の県内の新車登録台数のわずか0.2%にとどまっています。普及の壁となっているのが燃料補給のインフラ整備です。

去年4月に開設された県内唯一の水素ステーション、満タンにするのに6500円ほどとガソリンとそれほど変わりません。しかし、水素ステーションは、既存のガソリンスタンドとは異なる設備が必要な上、建設コストもガソリンスタンドのおよそ2倍が必要とされます。設置できる地域も限られるため、現在、全国でおよそ150か所にとどまっています。

もう一つの理由が、車両価格の高さです。「MIRAI」の車両価格は税込み710万円からと、同サイズのエンジン車よりも1.5倍ほど高額になります。国と鹿児島市では、購入する際におよそ200万円を助成していますが、それでも500万円以上の出費が必要で、今後、車両価格をどれだけ下げられるかが、普及の鍵となりそうです。

一方で、車の買い替え以外で運転中の二酸化炭素の排出を減らす方法もあります。運転方法などの工夫で燃料消費を抑える取り組み「エコドライブ」です。大きなポイントの一つが車が発進するときです。

(JAF鹿児島支部推進課 白濱純洋さん)「発進するときに一番燃料を使う。オートマチック車はクリープ現象でまっすぐ前に進むが、それを利用して『ふんわりアクセル』を踏めば発進の時にエコにつながる」

そして、走行中に燃費改善が期待できる一番のポイントが、アクセルを踏むタイミングです。一般的な車は、一定回数以上、エンジンが回転すると、「燃料カット」と呼ばれる燃料を消費せずに走行する機能が働きます。
この機能を踏まえてできるだけブレーキに足を置く時間を増やすことを意識することで、無駄にアクセルを踏む回数が減り、燃費が向上するだけでなく、安全運転にもつながると指摘します。

環境に優しい車への買い替えや日頃の運転方法の改善など、身近な車の活用を見直すことが地球温暖化対策の第一歩に繋がります。

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SDGsとは?

SDGs

SDGsとは、Sustainable Development Goals”の略で「持続可能な開発目標」と訳されるものです。
2015年の国連サミットで採択されたSDGsは、国際社会が2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットが掲げられています。
2030年まであと10年となった2020年、「行動の10年」として取り組みの拡大が求められています。

SDGs:参考
国連広報センター 

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株式会社 南日本放送(本社:鹿児島市、代表取締役社長:中野寿康)はSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)推進のため、2020年12月、国連の「SDGメディア・コンパクト」に加盟しました。

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