熊本地震6年 益城町の今「心の復興まだ…」 鹿児島県内の地震リスクは

活断層が動いたことで発生した熊本地震。専門家は鹿児島県内でも出水など活断層のある場所では震度7程度、それ以外の場所でも震度6程度の地震はどこでも起こりうると指摘します。熊本地震から6年、復興へ歩みを進める住民の今の思いや、県内の地震リスクについて報告です。


「心の復興まだ…」住民の思い

6年前の2016年4月14日にマグニチュード6.5の前震、2日後の16日にマグニチュード7.3の本震が起きた熊本地震。震度7を2回観測し、直接の死者は50人、関連死は226人にのぼります。

益城町では、住宅のおよそ98%が全壊や半壊などの被害を受けました。

(吉村静代さん)「この辺りは全部新しい家。(元の場所に戻っても)今までの生活とは違う」

益城町に暮らす吉村静代さん(72)です。地震で自宅が全壊し、夫と2人で避難所や仮設住宅での3年間の生活を経て、3年前に新しい家を建てました。

町で最大4000人が暮らしていた仮設住宅はおととし1か所に集約され、今は16世帯48人に。区画整理や道路の拡張工事が進められる中、元の場所に戻ったものの、“帰ってきた”という感覚にはなれずにいます。

(吉村さん)「ハードな、目に見える部分はかなり復興している。だけど、心が比例しているかと言えばそれは違う

仮設住宅の自治会長として、住民の交流につながればとイベントなどを開いてきた吉村さん。地震から6年。仮設を出てそれぞれの場所で新たな生活が始まりましたが、「住民同士のつながり」は薄れつつあると感じています。

バラバラになった住民がまた集まれるようにと、自宅の庭に集会場を建てました。

(吉村さん)「新しいところに住んだからといって、すぐ(近所の人と)仲良くなれるわけではない。電話をかけて『遊びにおいでよ』とか『今度花見するよ』とか」

 

布田川断層と日奈久断層が連動し発生した熊本地震。吉村さんは地震前から町の直下に断層があることを知っていたものの、ここまでの被害は予想していなかったと話します。

(吉村さん)「地震はどこであってもおかしくない。命だけは守ってほしい。自分ごととして捉えてほしい

専門家「どこにいても震度6程度は起こりうる」

県内で過去に地震を引き起こし、今後も大きな影響を及ぼすと考えられている主な活断層は市来断層帯、甑断層帯、出水断層帯などがあります。

(鹿児島大学 井村隆介准教授)「出水断層帯で3万年くらいの間に地震が4回あったことが分かってる」

国の調査に関わってきた鹿児島大学の井村隆介准教授です。出水市街地の東側の山手におよそ20キロのびる出水断層帯。国の調査では、マグニチュード7程度の地震が30年以内に起こる確率は「やや高い」とされ、県は最大震度7を想定しています。実際に断層が見える場所に行ってみると。

(井村准教授)「2mぐらいのずれが3つぐらい読み取れる。この断層は45度くらいの角度で出水平野の下の方に入り込んでいる。内陸直下型の地震は地下10〜20キロのところで起こるので、(出水断層帯が動くと)出水市平野全体が震度7になる」

そのうえで井村准教授は「活断層があるかどうかに関わらず震度6程度の地震はどこでも起こりうる」と指摘します。

映像は、1997年に発生した県北西部地震です。阿久根市や薩摩川内市などで震度5強を観測。熊本地震の前震より大きいマグニチュード6.6の地震が、当時存在が知られていなかった断層が動いて引き起こされました。

井村准教授は、普段から、家具の固定などの対策をすることが重要だと話します。

(井村准教授)「鹿児島県内と言わず日本列島のどこにいても、震度6程度は活断層、南海トラフに関係なく起こりうる。普段から、落ちてくる、倒れてくる、動いてくるものを固定しておくことが大事

熊本地震から6年、どこでも起こり得る地震に今できる備えは何か、日頃から考えておくことが必要です。

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