【防災 私の提言】防災士・渡邉恵里香さん「家族で防災を身近に」
98年前の1923年9月1日に関東大震災が発生したことから、9月1日は「防災の日」です。防災について専門家に聞くシリーズ「防災 私の提言」2回目は、3児の母で防災士として防災講座などを開いている渡邉恵里香さんです。
(渡邉さん)「日常生活の中に防災の視点を持つということがとても大切だと気づかされた」
鹿児島市に暮らす防災士の渡邉恵里香さん(37)です。子育て支援センターや保育園などで、親子向けに防災講座を開いています。
10年前の東日本大震災では、当時住んでいた茨城の自宅が震度6弱の揺れに襲われ、夫と当時、生後11か月の長男と3人で車中泊避難しました。
(渡邉さん)「今までに経験したことのないような地鳴りの音と共に、凄まじい揺れを経験した。『ごめんね、ママがちゃんと用意していれば良かった』というのを感じながら過ごした数日間でした」
4年前に夫の転勤で、鹿児島市に引っ越してきた渡邉さん。桜島の降灰や大雨、台風による災害が頻繁に起きていることを目の当たりにしたことで、防災への意識が変わりました。
2018年に防災士の資格を取得。3人の子を持つ親として、若い世代や子どもたちへの防災に力を入れています。
(渡邉さん)「備蓄でも洪水の被害を受けそうなところなら1階よりも2階に備える。赤ちゃんがいる家庭では赤ちゃんに特化したものを揃える。家族に合う分量を揃える」
「物の備え」だけでなく「心の備え」も大切とし、非常時を体験するために、3人の子どもと一緒に防災グッズのみで生活する「防災キャンプ」に取り組んでいます。
(渡邉さん)「一緒に電気、ガス、水道が使えない設定で1日生活をしてみる。水道の量も決まったタンクの量の中で洗い物をしたり、電気が使えない中でランタンだけで生活をしたり、災害用のトイレも実際に使ってみてトイレの使い方を一緒に確認をする」
去年9月の台風10号では、渡邉さんの自宅も13時間停電が発生。子ども達が落ち着いて行動しているのを見て、日ごろからの訓練が大切だと再認識しました。
(渡邉さん)「子供は夏休みに(防災キャンプの)経験があったのか、暗闇になっても全く怖がることもなく『ママ、練習したんだから大丈夫』と心強い言葉を子供からもらい、私の方が助けられた。子供と一緒に心を備えることは災害時とても大切だと思った経験」
いつどこで発生するか分からない災害に備え、普段から持ち歩いているのが「防災ポーチ」です。
(渡邉さん)「携帯用のトイレ、アルミブランケット、そして簡易的な食事、キャンディ、ラムネでもいいので用意している。小さい子供がいるので子どもの気持ちが落ち着くように、小さなミニカーなど小さなおもちゃを一緒に入れている」
そして子どもたちにも持たせているのが、住所や血液型のほか、持病やアレルギーなど本人の情報を記した「助けてカード」です。
(渡邉さん)「私に何かあった時でも子どもだけでも助かって欲しい。それぞれにランドセルや子供の避難用のバックや私が日常生活で持ち歩く避難ポーチにも入れている。
(渡邉さん)「私たち親が防災の知識を持つこと、子どもに語りかける防災教育をおこなっていくことが大事。日常生活の中に防災を入れる。そして家族一緒に考えることがすごく大事」
普段から「防災」に身近なものとして触れておくことが、いざという時、スムーズな行動に移すカギになります。