阪神淡路大震災から26年
阪神・淡路大震災から17日で26年となります。都市直下で発生し、6400人余りが犠牲になった地震の教訓、そして鹿児島の備えは?冨山記者の報告です。
(伊集院高子さん)「両親の遺体がでるまでずっと壊れた家の前でずっと叫んでまして『お父さん、お母さん』て」
神戸市の伊集院高子さん66歳。沖永良部島知名町出身の両親を震災で亡くしました。
(伊集院高子さん)「私は2階に寝てまして両親が1階にいたんですけど、揺れて家が壊れて」「両親は1階だったのでそのまま下敷きになって亡くなってしまいました。」
1995年1月17日午前5時46分に、兵庫県南部でマグニチュード7.3、最大震度7の直下型地震が発生。死者は関連死含めて6434人、多くが倒壊した建物や家具の下敷きになった人でした。
高子さんの両親も倒れた自宅の下敷きとなり、亡くなりました。
(伊集院高子さん)「父は忙しい人だったが、ふとした時にとても優しい人だった」「母は父にも増して優しくていつも私を信頼して、何をするにもやりたいことを応援してくれた。」
家が倒壊したと高子さんから連絡を受けた兄の善房さんは当時、外出先から慌てて高子さんのもとに駆け付けたといいます。
(伊集院善房さん)「一番怖い思い、悲しい思いをしたのは妹です。2階にいたおかげで無傷で助かりましたけど、ずっと父と母の名前を呼んでいたと、知り合いや近所の人が言っていた。本当に辛かったと思う。」
震災で亡くなった鹿児島県出身者203人の慰霊碑がある神戸市の大倉山公園では、14日、神戸に住む県人会のメンバーが清掃活動を行いました。
(神戸鹿児島県人会 小松 大作会長)「慰霊碑を毎月(県人会の)各区が順番で清掃活動をしています。それはやはり慰霊の気持ちで皆さん一生懸命掃除をして」「欠かしたことがないというのが我々の自慢。」
甚大な被害を出した阪神・淡路大震災と同じ直下型地震。鹿児島県の調査では想定されている12の地震のうち4つが直下型で、こうした地震はいつでもどこでも起こり得ると専門家は警鐘を鳴らします。
(鹿児島大学 井村隆介准教授・地震地質学)「鹿児島県でも出水断層をはじめとして活断層、内陸直下型地震、マグニチュード7以上の地震を起こす可能性がある活断層が見えている。県内にいくつもある」
県の想定の1つ鹿児島湾直下での大正噴火の際と同じマグニチュード7.1の地震では、最大震度7、発生からおよそ10分で最大3メートルの津波が沿岸部に達するなどし、死者260人、建物被害4万棟あまりと想定されています。
(鹿児島大学 井村隆介准教授・地震地質学)「自分が経験していなくてもこの20年程の間に日本だけでなく世界で起こった災害に対して人ごとにしないで自分のところで起こったらどうなるかをちゃんと考えることが大事」
「災害時はある意味マニュアル通りやるとか行政の言った通りやることがマストではなく『命が助かること』が必要。」「命さえ残っていればその後は頑張って復興というのはあるので、まず命をきっちり守ることが大事」「もう一度、あの時何が起こったのか復習していただくというか、自分のところで起こったらどうなるか考えて欲しい」
震災で両親を亡くした伊集院高子さんも、自らの体験をもとに命の大切さを訴えます。
(伊集院高子さん)「人は決して一人ではない。いつも家族がいたり、友人がいたり、いろんな人が周りで応援してくれていることを忘れないで欲しいとみんなに言いたい」
多くの人が犠牲となった阪神・淡路大震災を次につなげるためにも、災害をわがこととして学び、家具の固定や避難方法の確認など身近にできる備えから始めることが大切になります。