#12 霧島日和(後編)
前回に引き続き、『ゲンセン霧島」の魅力に迫ります!
次に訪れたのは、霧島市福山町にある「坂元醸造」。
今回は特別に壺畑に入れていただき、醸造技師長の坂元宏昭さん、同じく醸造技師の原野洋和さんに黒酢造りについてお話しを伺いました。
まず驚いたのが壺の数。
坂元:「私たちの壺畑には5万2000個の壺があります。年に2シーズン、春と秋に仕込みを行いますが、14人の職人で一週間に一度、壺の中の発酵具合をひとつひとつ確認しています。発酵の状態が良いものは、若手職人の勉強のために壺の上に石が置いてあります。」
西原:「すごい数ですね!!ひとつひとつ確認する作業は、本当に大変そうですね。」
中山:「”良い発酵状態”とは、どのように判断されるのですか?」
原野:「発酵の音、匂い、壺の中の水面の様子を五感で判断しています。壺によって発酵の進み具合が異なるので、すべての壺の黒酢をおいしくするために中の様子をこまめに確認します。私たちは水面の様子を”表情”と呼んでいます。」
西:「熟練の技を持つ職人さんにしかできないことですね。長年受け継がれているのは、すごいです。」
原野:「今は黒酢を3か月ほどで大量生産できる方法はありますが、私たちは本物の味を追求するために1年以上かけて造る製造方法を守っています。米麹(こめこうじ)、地下水、蒸し米の3つの原料のみで造っていて、江戸時代から200年変わっていません。途中、戦争で米不足になり黒酢の製造が困難になったときでも、先代がサツマイモを代用するなどして壺づくりの製法を守り抜いてきました。」
坂元:「壺の見た目はほぼ同じですが、薩摩焼・信楽焼(滋賀)・台湾製・韓国製の4種類あり、薩摩焼は創業当時の江戸時代から使っているものです。」
西:「先ほどから気になっていましたが、皆さんが持っていらっしゃる竹の棒は何ですか?」
原野:「これは『攪拌棒(かくはんぼう)』で、黒酢造りに欠かせない道具です。私たちが醸造技師の資格を取得した時に、近くの竹山に自分で探しにいきます!大切な相棒です。」
中:「驚きです!納得のいく竹の形を見つけるのは大変そうですが、その分愛情もありますね!」
坂元:「福山の暖かく穏やかな気候は、黒酢造りに適しています。太陽の陽射しも黒酢造りには欠かせません。」
今回特別に半年・1年・5年ものを試飲させていただきました。
西:「色が全く違いますね!半年ものは味に若さはありますが、酸っぱすぎずスッキリ美味しいです!」
中:「1年ものは私たちが知っているお酢の味ですね。私は酸っぱいものがあまり得意ではないですが、まろやかな感じがします」
西:「5年熟成させたものは、酸っぱさがあまり無くコクがあります!熟成させるほど味に深みが出るんですね」
原野:「それぞれ味は全く違いますが、どれだけ熟成させても酸の濃度は同じです。」
中:「本当ですか!?酸っぱさは全然違うのに不思議です。」
坂元:「時間をかけて熟成させたものほど手がかかっているので、美味しい黒酢が出来上がるとうれしいです。私は醸造技師長ですが、今でも新しい発見があります。まだまだ勉強中です。」
西:「熱心に取り組んでいらっしゃる姿、かっこいいです。」
中:「学びを忘れない姿勢、さすがプロフェッショナルですね。勉強になります。」
続いて壺畑横の「坂元のくろず情報館」へ!
坂元のくろずや黒酢ドリンク、黒酢を使ったドレッシングなども販売しています。
こちらで、りんご黒酢の水割りや牛乳割り、黒酢ゆず胡椒を試飲・試食させていただきました。
中:「そのまま飲んだりお料理に使えたり、取り入れやすいですね!」
西:「黒酢は好きでよく飲んでいますが、牛乳割は初めて!飲むヨーグルトみたいです。美味しい!」
中:「200年続く伝統の黒酢の魅力に触れ、貴重な体験でした。」
西:「黒酢は健康と美容にもいいとのこと!これからも黒酢を飲み続けたいと思います!」
中、西:「坂元醸造の皆様、ありがとうございました。」
◆◆◆
最後に、鹿児島県指定伝統的工芸品の『薩摩錫器(すずき)』を作っている「岩切美巧堂」を訪れました。
岩切洋一さんに案内していただきました。
中、西「よろしくお願いいたします。」
岩切:「錫器を身近に感じていただくために、さっそく錫皿づくりに挑戦してみましょう。実際に触れて、錫本来の良さを体感してください。」
はじめに用意された錫の板に、自分たちの好きなアルファベットや数字を刻印します。
岩切:「位置を決めて、ハンマーで叩いて刻印します。私たちも刻印を入れるときには一つひとつ文字の向きを確認しています。」
西:「一度刻むと消せないので慎重になりますね。はじめは力加減が難しいです。」
中:「文字のバランスを考えながら刻んでいきます。こんな感じでしょうか??」
西:「そんなに力を加えなくても、簡単に文字が入っていきます!」
次に中心を押さえながら皿の周りを叩いていきます。
中:「お話には聞いていましたが、錫は本当に柔らかいですね。ゴムのハンマーで叩くと簡単に形が変わり、驚きです!」
はじめは平面だった錫も、だんだんと形が出来てきました。
さらに小刻みに叩いて皿の周りにカーブをつけていきます。
西:「細かい作業で大変ですが、リズムを刻むのが楽しくなってきました!」
こうして世界に1枚だけのオリジナルの錫器が出来上がりました。
せっかくなので、オリジナルのロゴは「MBC×ANA」に。
なかなかいい感じに文字を刻むことが出来ました。
中:「初挑戦でしたが、なかなか味のある作品に仕上がりましたね!自分たちでつくったお皿、愛着が沸きます。」
続いてショールームでお話を伺いました。
岩切:「現在、原料の錫は国産ではなく、マレーシア産のものに頼っています。
以前は鹿児島の谷山に錫の鉱山があり、薩摩の経済をささえていたんですよ。」
中:「原形は私たちが目にしている錫とはまったく別物に見えます。」
西:「こちらが谷山でとれた錫。島津家の家紋が入っていて立派ですね!」
岩切:「奥にあるのがマレーシア産の錫です。同じ錫でも色味や質感も違いますよね。」
中:「全国規模の展覧会でも注目を集めた茶筒がこちらですね!」
岩切:「大久保利通も愛用していました。密閉性が高く、中の茶葉が100年前そのままの味と香りで保存されていました。」
西:「実際に触ってみると、ふわっと軽い!蓋を乗せると寸分違わずピタリと閉まります。」
西:「今年の干支のウサギや牛の置物もあります。」
岩切:「牛の置物を昨年開催された『全国和牛能力共進会』で販売したところ、大変ご好評いただきました!」
岩切:「錫を桜島の溶岩でコーティングする技術で、虹色に輝く新製品を開発しました。
『2022かごしまの新特産品コンクール』で、鹿児島県知事賞を受賞しました。」
中:「溶岩というと黒や灰色のイメージがありますが、それが虹色に変化するなんて不思議ですね!」
西:「火山が身近にある鹿児島ならではの製品ですね!」
中:「これほど多くの薩摩錫器を目にするのは初めてでした。実際に皿づくりを体験し、錫の柔らかさや味わいを知ることも出来ましたね!」
西:「今回の訪問を通して薩摩錫器を身近に感じることが出来ました。これからお皿を使うのも楽しみです。」
中、西:「岩切さん、ありがとうございました!!」
◆◆◆
『ゲンセン霧島』を実際に体験して、これまで以上に霧島の魅力に触れることが出来ました。
ゲンセン霧島についてもっと知りたい!という方は、以下のURLからチェックしてみてください。
WEBページ https://kirishima-gastronomy.com/
SNS https://www.instagram.com/gen_sen_kirishima/
中:「自然が育んだ素材を活かし、情熱をもってモノづくりに励む姿に刺激を受けました。」
西:「五感を使って霧島の魅力に迫ることが出来ましたね。皆さんにも是非、『ゲンセン霧島』を体感していただきたいです!」
坂元醸造でいただいた「黒酢ソフトクリーム」。
最高気温13℃の寒さに負けず、大好きなソフトクリームをいただきました♪
✈お読みいただきありがとうございました✈✈