『記録的大雨、私は』湧水町~がけ崩れで避難できず~
CASE3.がけ崩れで避難できず
今回の記録的な大雨の経験者の声から教訓を考えるシリーズ「記録的大雨、私は」。3回目は、自宅のがけが崩れた湧水町の住民が語る体験です。
今月10日の記録的大雨。湧水町では、排水が追いつかずに街に水があふれる内水氾濫で44棟が浸水したほか、土砂災害も相次ぎました。
(記者)「湧水町の吉松です。山沿いに街や住宅が広がっています。今回の記録的大雨では土砂崩れが起きたところもありました」
町によりますと、宅地でのがけ崩れが少なくとも十数か所であり、被害実態を把握するため、町はいまも調査を続けています。
空を見ながら雨を心配する、樽見篤子さん(69)。10日の記録的大雨で、自宅の敷地にある高さ10メートル近くのがけが崩れました。
(樽見さん)「こんなにまで崩れるとは思わなかった。ここには畑を作っていた」
崩れた土砂は雨水とともに家の裏側や、同じ敷地にある温泉施設の床下に流れ込みました。ひとり暮らしの樽見さん。
以前暮らしていた鹿児島市で8・6水害を経験したことから、避難に必要な生活用品を常に用意していました。
いざという時は近くの親戚のもとへ車で避難することにしていましたが、今月10日の記録的大雨では。
(樽見さん)「(前日夜)これくらいの雨だったらいいかなと思って寝た。目が覚めて午前4時ごろ、降り方がいつもと違うなと思って外を見たら、土砂が道路に流れていた」
小雨になったタイミングを見計らい、車での避難を決断した樽見さん。しかし、車の後輪は崩れた土砂で埋まっていました。
(樽見さん)「タイヤが泥で空回りする感じだった。行ける状態ではなかった。想定外でした」
結局、避難はできなかった樽見さん。自宅に被害はなかったものの、今回の体験を通じて、大雨のおそれが分かった時点での早めの避難の重要性を痛感し、自分で自分の身をどう守るか、改めて考えさせられたと話します。
(樽見さん)「雨がどれくらい降ったらどうなって、大丈夫なのか、常に考えている。自分で身を守らなきゃ。日本はどこでも災害があるから」