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廃食油でバスが走る! 種子島でめざす「循環型社会」

今回は、家庭や飲食店で揚げ物を調理した際などに残る使用済みの油「廃食油」です。この、捨てられる「廃食油」を車の燃料に変える研究が種子島で進められています。離島でめざす「循環型社会」の実現へ向けた取り組みです。

鹿児島県西之表市の下西小学校の4年生が学んでいるのが、環境にやさしい燃料として注目されるバイオディーゼル燃料です。

バイオディーゼルは、トラックや重機の燃料となる化石燃料=ディーゼルの代わりとなる燃料です。植物由来の油などが原料で、成長過程の光合成で二酸化炭素を吸収しているため、排出される二酸化炭素はプラスマイナスゼロとなると考えられていて、地球温暖化防止につながるとされています。

この日、子どもたちは校区の家庭から集まった「廃食油」を原料に、バイオディーゼルを作る実験を行い、環境問題について学びました。

(児童)「油はごみでリサイクルできないと思っていたけど、石けんや燃料つくれてすごい」

授業を行った東北大学の北川尚美教授です。2004年、浄水処理などで使われるビーズ状の樹脂を使って、廃食油を原料にバイオディーゼル燃料の製造に世界で初めて成功。
従来の方法で課題だった不純物を分離する手間が省けるため、品質の高いバイオディーゼルを安定してつくれるようになりました。

北川教授は、2014年から西之表市と連携して実証実験を開始。現在、地域住民から集めた廃食油を利用したバイオディーゼル製造の実用化に向け、コスト面などの研究を進めています。

この5年で集まった油は、およそ700リットル。北川教授は、地域の協力が研究の後押しになっていると話します。

(北川教授)「種子島の人は新しいことにすごく積極的。大学の技術は発見して使えるようになるまで長い年月かかるので、その部分をご支援いただいていて非常に心強い」

西之表市では、作られた燃料を今年の夏ごろから草刈り機などで使う予定で、今後、普及を進める計画です。

研究がすでに実用化された例もあります。西之表市で障害者就労支援などを行うNPO法人「こすも」では、2006年から廃食油を使ったバイオディーゼル燃料の製造事業を始めました。

以前は回収した廃食油にばらつきがあるため、燃料の品質が一定に保たれないなど課題がありましたが、2015年に北川教授の技術を導入したことで、現在は1日200リットルの製造が可能に。製造コストは軽油を購入するよりも安く抑えられ、施設の送迎バスやトラック5台の燃料として使っています。

現在、NPO法人こすもでは、島内のおよそ9割の飲食店などの事業所から、1か月におよそ4000リットルの廃油を回収しています。

(NPO法人こすも 松岡拓郎副所長)「まだまだ島内で処理できていない廃食油があるので、将来的には島内ででた全てを島内で処理したい」

物やエネルギーが限られる離島だからこそ、資源を繰り返し利用する「循環型社会」の実現がより求められると話す北川教授。島内のすべての廃食油をバイオディーゼルに変えることを目標に、種子島から資源の有効利用を発信したいと話します。

(北川教授)「種子島をなるべく自立した、資源を生かす島にして、『すごいだろ』とみんなに見せて『みんなもやろうよ』という風に、自分たちとは遠いものではないと思ってもらえるといいなと思う」

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SDGs

SDGsとは、Sustainable Development Goals”の略で「持続可能な開発目標」と訳されるものです。
2015年の国連サミットで採択されたSDGsは、国際社会が2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットが掲げられています。
2030年まであと10年となった2020年、「行動の10年」として取り組みの拡大が求められています。

SDGs:参考
国連広報センター 

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株式会社 南日本放送(本社:鹿児島市、代表取締役社長:中野寿康)はSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)推進のため、2020年12月、国連の「SDGメディア・コンパクト」に加盟しました。

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