地域防災 新燃岳警戒範囲周辺の住民は
【放送日:2018年3月16日】
霧島連山の新燃岳は、3月15日警戒範囲がおおむね4キロから3キロに縮小されましたが、依然として活発な活動が続いています。
警戒範囲に近い地域で生活する住民らの備えについて、上村記者の報告です。
(記者)「火口から、4キロから5キロの地点にいます、住民らは普段の生活を続けながら、避難が必要な場合にも備えています」
新燃岳の火口から南におよそ5キロにある霧島神宮台です。
人が住むエリアとしては火口から一番近く、別荘を含め20世帯あまりが生活しているとみられます。
新燃岳では今月1日から噴火活動が続いていて、10日の爆発的噴火では、大きな噴石が火口から最長で1.8キロまで飛び、警戒範囲が一時、3キロから4キロに拡大されました。
4キロへの拡大は、2011年2月以来で、当時は、噴石が火口の南西3.2キロまで飛んだほか、4キロ以上離れた場所でも火山れきや空振でガラスが割れるなどの被害が出ました。
霧島神宮台では15日、住民が、噴火活動のさらなる活発化に備えていました。
「最悪の場合は避難と思っていますけど」
「まあ準備はしてますけどね」この地区で飲食店を営む久長輝行さんです。
日中は、あえて店を開けているといいます。
久長輝行さん「(火山活動の活発化で)通常閉めるところなのでしょうが、(この地区には)永住の人もいる、高齢者もいるので、安全を確保しながら避難誘導もあるし」「もし何かあったら避難が出来る体制をとっておこうということで店は開けている」
久長さんは、避難となった場合、近くのペンションと手分けして地区内の高齢者の所在を確認し、車で避難所の送迎をすることにしています。
また、先日、消防からある紙を渡されたといいます。
「防災無線で(避難呼びかけが)入るでしょ、入ったときに荷物を全部出して、これをとにかく貼ってくれと、道路とか木に、あとで消防関係が最終確認に来る」
避難が完了した家屋を、消防などが最終確認するためのものです。
霧島市の避難計画によりますと、火口から5キロ圏内では霧島地区で霧島神宮台に住民が25世帯51人、ペンションなどの宿泊可能数が116人で避難対象者を最大であわせて167人とみています。県道60号を使い、霧島保健福祉センターに避難します。
一方、牧園地区は霧島ホテルの宿泊可能数が376人で従業員住宅に68人。休館中の霧島いわさきホテルは従業員住宅に5人。付近に住民11人が住んでおり、避難対象者を最大であわせて460人とみています。国道223号を使い、牧園アリーナか牧園農村活性化センターに避難します。
警戒範囲は15日3キロに縮小されましたが、霧島市では「活動が収束したわけではない」として、情報収集を続けています。
霧島市中重真一市長「完全に活動が収束したわけではない。これからも人的被害を出さないことを第一に必要な対策をとっていきたい」
霧島火山の研究を続ける鹿児島大学の井村隆介准教授は、住民は引き続き風向きなどに注意する必要があると話します。
鹿児島大学井村隆介准教授(火山地質学)
「気象台の情報をよく聞くことは重要」「一方で自分たちの五感、空振が続く、音が止まないというのは何かおかしい。自分で判断して行動する。」
また、霧島市では日帰りの観光客など住民以外の避難については外国語を含む防災行政無線での呼びかけなどで対応するとしています。
霧島は観光地で、警戒範囲周辺にいる観光客の実数や所在の把握は難しいだけに、どのように避難計画の実効性を高めていくのかが課題といえそうです。