明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学ぶこの番組。今週は、郷中教育の伝統を今に継承する学舎の活動についてお伝えしてきました。
今日は、学舎で継承されてきた伝統の年中行事について、お伝えいたします。
まず秋の一大行事が「妙円寺詣り」。
現在、毎年10万人が参加すると言われる鹿児島三大行事の一つですから、ラジオをお聞きの皆さんの中にも参加されたことのある方もいらっしゃることと思います。
妙円寺詣りは、1600年の関ヶ原の戦いにおいて敵中突破を果たし、不眠不休で伊勢を目指した島津義弘公の気概と苦難を偲び、いつしか始まった行事と言われます。
鹿児島市内の各学舎では、陣羽織や鎧、兜を身につけ、鹿児島市から日置市の徳重神社までの約20kmを徒歩で参拝、往復する方もおられます。
ちなみに、妙円寺は義弘公の菩提寺です。明治時代の廃仏毀釈に遭ったため、徳重神社を参拝するようになりましたが、いまは妙円寺も再建されており、徳重神社とあわせて参詣する方もいらっしゃいます。
島津義弘公を偲ぶ「妙円寺詣り」とともに行われてきたのが「加世田日新寺詣り」です。
島津家中興の祖であり、郷中教育の精神的礎となる「いろは歌」を作った島津日新公忠良の遺徳を偲ぶ行事です。廃仏毀釈の後は、日新寺跡に造営された竹田神社を参拝するしきたりでした。
先日ご紹介した鹿児島市の自彊学舎では、以前は子どもたちも夜通し歩いて加世田まで行っていたそうです。現在は、徒歩ではありませんが、自彊学舎の夏の一大行事として継承されているそうです。
明日は、加世田日新寺詣りと、島津日新公にちなむお話しをいたしましょう。