「動物園に行きたい!」離島園児の挑戦 タンカン収穫に稲刈り お手伝いでお金をためて…

平川動物公園を訪れた屋久島の保育園児たちです。笑顔いっぱいの園児たち。島から動物園に来るための費用を自分たちで稼いできたんです。
夢をかなえるため、1年半にわたる子どもたちの挑戦をカメラが見つめました。

マントヒヒをみてうれしそうな子どもたち、屋久島の園児たちです。みんながこの日、平川動物公園に来るまでには、1年半にわたるプロジェクトがありました。

屋久島町安房の安房保育園。81人が通っています。年長のきりん組の17人です。まだ年中組だったころ、みんなの夢だったのが、「動物園に行くこと」です。

(安房保育園 若松幸先生)「お金がないと行けないトッピーに乗れないと行けないと思ったみたい。バイトする。どうしたら良いかみんなで話し合った」

夢をかなえるために考えた方法は、バイトをしてお金を稼ぐこと。「動物園プロジェクト」は去年6月から始まりました。

こどもたちは、地域で仕事を募集。この日は高齢者施設の草取りをお願いされました。
仕事のお礼に、施設のスタッフからもらったのは手作りの雑巾。

(施設スタッフ)「いっぱい雑巾できたら手伝いに来てね」

もらった雑巾を1枚30円で売りました。

2月は屋久島の特産品タンカンの収穫のお手伝い。屋久島から1泊2日で動物園に行くためにかかるのは園児1人当たりおよそ1万3000円。1個いくらで売るのかも子どもたちで考えます。

「一個100円?」「三個100円」

およそ1時間収穫したお礼に農家さんから54キロのタンカンをもらいました。少し自分たちで食べて、後日、無人市で売りました。

4月は田植えです。みんなが学ぶのはお金のことだけではありません。

「おにぎり一個食べるのに、何回苗を植えたら食べられるでしょう」
「3回!」
「6回!」
「6回、正解。」
「20回くらい植えたら今日食べる分になるね、さあ頑張れ」

そして収穫…。慣れない手つきで鎌を使い刈り取っていきます。

「1袋で大体30キロ、今日何袋取れたでしょう?」
「3袋」
「90キロから100キロ近くお米が穫れた」

みんなでつくった“ふかふか”で“もこもこ”のおいしいお米は「ふかもこ米」と名付け、夏のお楽しみ会で売りました。

「いらっしゃいませ、いらっしゃいませー」
「やったー!全部完売!ばんざーいばんざーい」

きりん組の17人が1年半で稼いだお金はあわせて6万5500円。1人あたり3852円でした。島から動物園に行くためには1人、1万2582円かかりましたが、保護者からの支援ももらい、動物園の切符を手にしました。

そして迎えた出発の日…お母さんと離れるのが不安で涙してしまう子も…

「行ってきます!」
「いってらっしゃい」

高速船で2時間半かけて鹿児島市に到着。今度はおよそ1キロ歩いて天文館へ。市電の走るいつもより大きな道路を通ってバス乗り場に着きました。

そして…家を出ておよそ6時間ようやく動物園に到着です!

「うわー、サルがいっぱいいる」
「どうしたー?」
「サルがいっぱいいる」

今までテレビや絵本でしか見たことがなかった動物たち。きりん組のみんなと本物のキリンがご対面です。

「お~いきりんさん」
「みて!あれ!」
「皆の大好きなおサルさんだよ」
「サルさーん、ホー、ホー(鳴き真似)」

そして、動物園と同じくらい盛り上がったのが…

「遊園地!遊園地!遊園地」
「メリーゴーランド~」

ためたお金で、観覧車に乗ることも出来ました。

「怖かった怖かった」
「初めての、初体験!」

(平川動物公園 福守朗園長)
「動物園に来るまで、一生懸命考えたり、作ったり、将来、遠い先まで、今日来たことを覚えてもらって、またぜひ平川動物公園に来てもらえたら」

おみやげも何が、どれくらい買えるか自分たちで考えて選びました。

(Q.何が一番おもしろかった?)
「鳥のお散歩ゾーンが楽しかった」

(Q.(観覧車に)また乗りたい人)
「はーい」

(安房保育園 若松幸先生)
「子どもたちの言葉を拾うことを一番大切にしている。(Q.恒例になるかも?)次のクラスの子たちに伝わって恒例になるかも」

「406円しかない」
「またお金貯めればいい」
「また来たいねー」

大人の力を借りながらも自分たちで考え、頑張ることで、夢はかなえられるということを感じた旅になりました。