地域防災 東串良町の地震・津波対策
今月5日は国が定めた「津波防災の日」でした。
その前後、県内各地で地震訓練などが行われ、志布志湾沿岸の東串良町でも想定される南海トラフ巨大地震に対する訓練が行なわれました。
その東串良町では、新たな防災センター建設などの取り組みも進んでいます。
地震防災の今を取材しました。大久保記者の報告です。
県内でもっとも南海トラフに近い、志布志湾沿岸にある東串良町です。今月11日、小学校と中学校でがありました。
訓練を行った柏原小学校と東串良中学校は、2年前まで国が進める「実践的防災教育」のモデル校でした。モデル校の指定が終わったあとも、定期的に避難訓練を続けています。
中学校ではその後、専門家による地震の講義もありました。
東串良中学校の冨士篤也校長は今後も訓練を続け、子どもたちに命の大切さを伝えたいと語ります。
今後、30年以内の発生確率が70パーセントとされ、国が対策を進める南海トラフ巨大地震。マグニチュード9.1、最大震度7の揺れで、34メートルもの津波が襲い、最悪32万人あまりが死亡するおそれがあると想定されています。
鹿児島県内では最大震度6強。津波は12メートル。死者の想定は2000人とされています。備えが進む、南海トラフ巨大地震。しかし、専門家は全国レベルの想定地震の限界も指摘し、地域により近い場所で起こりうる地震が地域ではさらに大きな被害をもたらすおそれもあると警鐘を鳴らします。
東日本大震災後、これまで、すでに4か所の避難場所などを整備してきた東串良町。対応を進める背景の一つがその地形です。志布志湾に面する東串良町は、海沿いにほぼ海抜ゼロメートルの集落があるなど標高が低く、肝属川と汐入川の2つの川の周辺に標高10メートル以下の地域が広がり、ひとたび大津波が押し寄せた場合、甚大な被害が懸念されるのです。
危機感を強める中、いま東串良町では海岸近くに新たに防災センターを建設しています。
完成は来年3月予定で、屋上の標高は20メートル。緊急の場合、200人が避難できます。また、隣にヘリポートを設けるなど、町役場に次ぐ第2の庁舎機能を持たせる計画です。
また、より近い場所で起きる地震と津波への備えを念頭に海抜ゼロメートルに近い地区に緊急の避難場所を年度内に完成させる方針です。
今週、新たな訓練がありました。東串良町を始め大隅半島の9つの自治体に県の消防防災ヘリが向かい、離着陸の際の無線でのやりとりを確認しました。災害があった際に、いかに人命を守り、すみやかに物資などの支援をするか?地道な備えが積み重ねられています。
東串良町の宮原町長は地域住民の命を守ることがもっとも重要と力説します。
南海トラフ巨大地震などから地域をいかに守るか、東串良町の取り組みが続きます。