阪神・淡路大震災から25年 「直下型」地震への備えは

地震には大陸と海側のプレートの境目のひずみが跳ね返って発生する「海溝型」と、内陸部などで地下の活断層がずれて発生する「直下型」の2種類があります。

海溝型は2004年のスマトラ沖地震や2011年の東日本大震災のように巨大地震となり大きな津波被害を伴うこともあります。一方、「直下型」は規模が小さい場合でも震源が浅く、都市部の直下ならば建物の倒壊など大きな被害につながる出るおそれがあります。

阪神・淡路大震災は「直下型」でした。「直下型地震」への鹿児島の備えは?緒方記者の報告です。

25年前の1995年1月17日午前5時46分、兵庫県南部で直下型の地震が発生。地震の規模を示すマグニチュードは7.3、最大震度は7で、死者は関連死を含めて6434人に上ります。このうちおよそ5500人が災害による直接の死者で、およそ8割が倒壊した建物や家具の下敷きになったことが原因でした。

「直下型」地震が都市部に大きな被害を出した事例は、過去に鹿児島でもありました。
106年前の1914年に発生した桜島大正噴火の際に、噴火のおよそ8時間後にマグニチュード7.1、最大震度6の地震が発生。建物や石塀が崩壊するなどし、29人が犠牲となりました。

地震地質学が専門の鹿児島大学の井村隆介准教授とともに訪れた鹿児島市照国町にある桜島爆発紀念碑。
106年前の地震の様子が克明に記されていました。

(鹿児島大学 井村隆介准教授)「震度7に相当するような地震が起こったわけですから、熊本で起こったこと、神戸で起こったことと同じようなことが鹿児島市内で起こると言う風に考えてもらえれば。」

さらに記念碑には地震による大規模ながけ崩れの記述も。
(井村准教授)「鹿児島市の天神ヶ瀬戸というところの崩壊で、ひとつの場所で20人以上がなくなったことが記されています。これは、噴火ではなくて直下型地震による死者だと言うことになります」

当時は山の中の道だったこの場所。噴火後に市街地から伊集院方面に逃げようとここを通った人たちががけ崩れに巻き込まれました。現在は宅地も増えていて、106年前と同じ規模の地震が起こった場合、被害はもっと大きくなるおそれがあるといいます。

(井村准教授)「道路が寸断されて台地に上れなくなるだけではなくて、そこにある電線や水道、ガスなどのライフラインも途絶する可能性があるそうすると、紫原とか台地、大きな住宅街が当時なかったものができている、孤立してしまう。」

また、住宅地だけでなく、沿岸部でも…
(井村准教授)「液状化に伴って建物がかたむく、地下埋設されてるようなライフラインが液状化によって寸断されてしまう可能性がある。ここが液状化によって港が破壊されると、離島への物資輸送が滞ってしまう」

県の防災計画では、大正噴火の際と同じ鹿児島湾直下でのマグニチュード7.1の地震が想定されていて、最大震度6強、死者260人、全壊9万5000棟に上ると見られています。しかし、大正噴火の際の地震のメカニズムはまだ詳しくは解明されておらず、直下型地震はいつ、どこで起きてもおかしくないと専門家は警鐘を鳴らします。

(鹿児島大学 小林励司准教授)「噴火が誘発したものと考えるんですけど、確かめられている訳ではないので。周りで大きな地震や噴火がなくても単独で起こる可能性は考えなければいけない」
(井村准教授)「地震と言うのは突然やってくる。直下型の地震は緊急地震速報も間に合いませんので、揺れがいきなり来る。ゆれた瞬間には身を守る体勢、揺れそのもので死ぬ人はいない。普段からつっかえ棒をしておくとか、(寝るときは)がけの反対側にいてくださいとか、あるいはできるだけ2階にいてくださいとかありますけれども、それが地震にも適用できるということですよね」

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