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能登半島地震で見えた“防災の限界”「想定にとらわれない」「災害リスクの理解を」 鹿児島

能登半島地震は、発生から10日です。
ニューズナウでは大きな地震や津波から命を守るにはどうすればいいか、シリーズでお送りしています。
2回目は、命を守るための備えを考えます。

今月1日の午後4時すぎ、マグニチュード7.6、最大震度7の揺れを観測した能登半島地震。
建物の倒壊、津波、火災、土砂災害など複合的な災害を引き起こし、石川県などによりますと、206人が死亡、10日経った今も52人が安否不明となっています。

同じように地震や津波のリスクを抱える鹿児島では・・・

「すごく衝撃的。街全体が焼け野原だった」

「自分たちにもいつか来るかもしれない。ちょっと意識しないと」

「自分も子どもがいるので、考えるとつらい。小さい子どもも被害にあっているので」

これは、県が想定する地震や津波の死者の数です。
南海トラフで2000人、県西部直下で540人、甑島列島東方沖で490人、鹿児島湾直下で270人、桜島海底噴火で最大1100人。

そして種子島東方沖で190人、奄美群島太平洋沖で500人や580人などとなっています。

しかし、想定したエリア以外で地震が起きるリスクもゼロではない上、震源が陸に近ければ、津波が揺れの直後、あるいは揺れている最中にやってきて、被害が想定を上回るおそれもあります。

一方こちらは、今回地震のあった石川県の地域防災計画です。
今回の震源に近い場所での地震の想定はマグニチュード7で、今回の8分の1規模、死者はわずか7人と想定していました。
また、この想定は1997年に作られてから26年間、更新されていませんでした。

(井村隆介准教授)
「想定の数字そのものに意味はあまりない」

地震地質学が専門の鹿児島大学・井村隆介准教授は、鹿児島でも「地震や被害の想定ばかりにとらわれない」ことが重要と話します。

(井村准教授)「死者が想定されていることが重要ではなく、備えることができない、事前に知ることができない地震も起こる」

鹿児島でもいつどこで起きるか分からない地震や津波。大きな揺れが襲った時、どう行動すればいいのでしょうか?

こちらは、今回の地震で震度6強を観測した石川県七尾市の住宅です。棚が倒れ、食器などが散乱しています。

鹿児島市消防局は、地震が起きた時、まずは落下物や倒れてくる物から身を守ることが重要だと話します。

(鹿児島市消防局・警防課 下入佐一隆主幹)
「上から落ちてくる物を防ぐために、机・テーブルの下に隠れる。揺れがおさまったら、家の玄関(最も近い出入口)から避難する。
(屋内の)避難通路は、棚などが廊下をふさがないようにする。あわてて外に出ると、上から瓦が落ちてくる可能性があるので注意する」

家の中で比較的危険とされるのが、寝ているため無防備になりやすい、寝室です。

寝室は、できるだけ物を置かず、家具を置くならベッドや布団から離れた場所に金具や突っ張り棒で倒れないよう固定します。
棚に置いた物や引き出しが揺れで飛び出さないように工夫することも大切です。

窓にはガラスの飛散を防ぐフィルムを貼っておきます。
ベッドや布団のそばには、避難する時のために、メガネ・懐中電灯・靴などを置いておくと安心で、すべり止めシートの上などに置いておけば揺れで散乱するのを防げます。

しかし、今回の地震は、「備えの限界」も改めて浮き彫りにしました。その1つが、相次いだ建物そのものの倒壊です。

住宅の耐震化率は被害の大きかった石川県珠洲市で51%と低く、鹿児島県でも82%と全国平均の87%をやや下回っています。

ただ、例え耐震化していたとしても、度重なる揺れで建物のダメージが蓄積され、倒壊するおそれもあります。

災害の被害が想定を上回ることはあると理解した上で、「減らせる方法を考えてほしい」と、井村准教授は強調します。

(井村准教授)
「専門家でも避けられない災害が起きている。そういう国に私たちが住んでいると理解することが大事。海沿いは津波リスク、山があればがけ崩れのリスク。がけ崩れがなくても集落が孤立するかもしれない」

「最善を尽くせば減らせる被害がないか、もっと考えないといけない。それを普段から想像できているかが大事」

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