喜界島豪雨の教訓
今月4日、観測史上最多の110ミリを超える猛烈な雨が降り、甚大な被害があった喜界島。
奄美群島では比較的災害に強いといわれていた島を襲った豪雨から得られた教訓とは。有島記者の報告です。
9月4日の降り始めからの総雨量が2日間あまりで549ミリと、平年の9月ひと月分の3倍を超える雨量となった喜界島の大雨。
島の中西部に位置する坂嶺地区では、山から流れてきた水が道路に流れ込みました。
坂嶺地区の区長、三原和裕さんは、当時の状況について
(三原区長)「側溝があるんですけど処理できない川のようになってきて一気に向こうへいったんですね。県道と同じ高さまで浸かったということになります」
山から流れ出た水は、地元の住民の憩いの場である坂嶺生活館に流れ込み、床上まで浸水しました。
坂嶺生活館の床は、今年3月に全面を張替え、この椅子は、大雨となった今月4日の午前中に搬入されたばかりだったといいます。
(三原さん)「1メートルぐらい浸水して中の備品も大分浸かって大きな被害が出ました。私も70歳になるんですけど雨が降っても海が近いものですからすぐに海に流れていくだろうと安心していたが今回はびっくりです。集落内の高齢の人も今までみたこともない聞いたこともないと話していました」
喜界町によりますと今回の大雨による建物の被害は、半壊が1棟、床上浸水が20棟、床下浸水が79棟です。
住宅以外にも県道2か所、町道6か所、農道45か所が通行止めとなるなど、島の各地で大雨の爪あとが見られます。
大雨の翌日の今月5日、小野津地区の上督操さんの住宅は泥まみれになっていました。上督さんはこの日(11日)、元の生活を取り戻そうと床下の泥を取り除くなどの復旧作業に追われていました。
(上督さん)「(元のように住めるようになるまでは)三か月、四か月はかかるんじゃないですか。早急にこういう災害が二度と起きないような対策をしてほしい」
志戸桶地区の「グループホームがじゅまる」では4日、大雨のなか、地域の住民が入所者8人を背中に担いで、近くの安全な住宅へ避難させました。
「がじゅまる」の周囲の水は引きましたが、入所者が戻れるまではしばらく時間がかかる見込みです。
(「グループホームがじゅまる」管理者・平田文人さん)「なるべく早く復旧させて利用者を安心させてあげたいなという気持ちはあるんですけどまだ復旧の目途は立っていない状態です」
喜界町の自主防災組織率は100%です。
50年に一度の大雨にみまわれながらも、人的被害がなかったことについて、喜界町の嶺義久副町長は日ごろからの住民同士のつながりの強さがあったからではないかといいます。
(嶺副町長)「集落の自治(コミュニティー)が成り立ってますので。何かあればみんなですぐ集まって対応できるような形になっていると思う」
災害が起こらないようにするのが目標としながらも、ハード面だけでは今回のような50年に一度の大雨は防ぎきれず、住民の意識の高まりが不可欠だといいます。
(嶺副町長)「(災害が)起きたときにどう対応するか。事前の準備に力を入れていけたら。地域を限定した大雨が降るというのはこれからも起こりうることなのでさらに住民の啓発を進めていきたい」
喜界島は、前回の大雨で地盤が緩んでいる場所があります。また、県内では今後台風の接近で大雨のおそれがあります。被害を拡大させないためにも今後の台風18号の進路に注意して、早めの避難をするなど、厳重な警戒が必要です。