国連が定めた持続可能な開発目標=SDGsの13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」をふまえ、地球温暖化防止について特集しています。
地球温暖化の原因となる温室効果ガスのひとつ、二酸化炭素=CO2の排出量は、身近な家庭からの排出も多く、全体の16%を占めています。
家庭からの排出量を減らすための取り組みの1つが、「環境家計簿」です。家計簿をつける感覚で簡単に家庭のCO2排出量が確認でき、さらには節約にも。
鹿児島市の丸山裕子さん(62)は、環境保全活動などに取り組むNPO法人のメンバーとして活動する中で環境家計簿と出会い、20年つけ続けています。今では環境家計簿に関する講座も開いています。
環境家計簿では、毎月の電気やガスなどの使った量を記録し、決められた係数をかけることで、1年間にどのくらい二酸化炭素が排出されたか分かります。
例えば、この年使った電気は1559キロワットアワー。これに1キロワットアワーあたりのCO2排出量0.347キロを係数としてかければ、1年間の排出量は540.97キロになることが分かります。これは500ミリリットルのペットボトルでおよそ54万1000本分に相当します。
(丸山さん)「電気・ガス・水道は生きていく上で大切だが、(発電所・浄水場などで)使われているのはエネルギーや化石燃料。それを使うことで、たくさんの二酸化炭素を出している。(地球温暖化と)関係ないわけではないことを気づける」
国の研究機関によりますと、家庭から排出されるCO2の量は、照明や家電製品などが30%と最も多く、次いで自動車、暖房、お風呂などの給湯となっています。県内の一部の自治体でも、地球温暖化について考えるきっかけにしてもらおうと、環境家計簿の活用を呼びかけていて、ホームページで提供している自治体もあります。
CO2の排出量を減らすため、丸山さんの場合、家の照明はLEDに。廊下の照明は人を感知した時だけ点灯します。LEDは白熱電球などと比べ、85%の省エネになるといわれています。また、家電を買い替える場合は、省エネタイプをすすめます。
(丸山さん)「冷蔵庫が壊れて買い替えました。6月に買い替えて、7月は(使用電力が)下がった。最近の冷蔵庫は10年前と比較すると、すごく省エネ。なるほどと思った」
買い替えにより、月の電気料金も1000円ほど下がったといいます。
家計にもメリットのある環境家計簿。そして、冬場の今、暖房を使う機会が増えますが、工夫次第で省エネができます。
例えば、冬のエアコンの温度を21度から20度に設定、または1日の使用時間を1時間減らすだけで、CO2を減らせるのはもちろん、電気料金は最大でおよそ1400円の節約になるといわれます。省エネの工夫はこれ以外にも。
(丸山さん)「窓対策が省エネですごく重要。冬場は(冷気対策で)厚手のカーテンを使う。どうしても寒い時は衣類で調節。首・手首・足首を温めるものをつけると、あたたかく過ごせる」
環境家計簿を始めて20年。丸山さんは、「楽しむ」ことと「家族の理解」が長く続けるコツだといいます。
(丸山さん)「CO2排出量を把握することで(環境への)意識が芽生えた。省エネを頑張ったら料金も低くなり、それを別なところに回せば楽しみが増える。できる範囲で、家族の理解の上でやることが大事」
何から始めればいいか分からないという声も聞かれるSDGsですが、環境家計簿を活用すれば、まずは現状を把握でき、目に見える形での成果を伴った取り組みにつなげることもできるかもしれません。