明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学んでいるこの番組。
先週は、先日鹿児島にいらした歴史家の加来耕三さんのインタビューをご紹介しました。薩摩に数多くの優れた人材が育ったのは「郷中教育」の賜物であったというお話。なかでも、とっさの判断力を養う「詮議」という学びのシステムによって、維新を成し遂げる薩摩の強さがはぐくまれたというお話、大変興味深く伺いました。
薩摩の若者たちは、日々「詮議」によって実戦にそなえた知恵を磨く一方、武術の鍛錬も欠かすことはありませんでした。今週は、郷中教育の中の武術についてご紹介します。
現在の鹿児島市中央公園の辺りには、島津家第25代当主・重豪公によってつくられた「造士館」と「演武館」がありました。造士館で学問を、演武館では武術の修練が行われていました。
いまイベントやコンサートが行われる場所には、西郷さんや大久保さんも通い、文武の修練に精進していたのです。
演武館では、剣術や馬術のほか鉄砲を扱う「砲術」、弓を操る「弓術」、槍を使う「槍術」など、さまざまな武術を学ぶことができ、門下生は自分が好きな武術を選ぶことができたそうです。
主流を占めていた剣術には8つの流派があり、それぞれ一流の先生が指導にあたっていました。その中で、若者の人気をもっとも集めていたのが示現流と呼ばれる剣術です。
明日は、この示現流の源流について、お話ししたいと思います。