今日は、いろは歌の43番目の「ゑ」の歌をご紹介します。
酔える世を 醒ましてもやらで 盃に 無明の酒を 重ぬるは憂し
まず、言葉の意味から。
- 「酔える世」とは、道徳が乱れた世界のことです。
- 「醒ましてもやらで」とは、醒ましもしないで、つまり、正そうともせず。
- 「無明の酒」の「無明」とは、仏教用語で「迷い」を意味します。
- 「重ぬるは憂し」の「憂し」とは、残念であるという意味です。
酔える世を 醒ましてもやらで 盃に 無明の酒を 重ぬるは憂し
歌の意味です。
道徳の廃れた世にあって、迷いの目をさましもせず、更に迷いの盃を重ねることは、誠に残念である。
すなわち、「乱れた世を正そうともせず、自分も庶民と同じように欲望煩悩に心を奪われているのは残念だ」と詠っています。
島津家では、家督争いが日夜行なわれ、まさに乱世。そんな世の中は日新斉にとって極めて悲しいものだったでしょう。
指導者・リーダーたる者が迷いの目をさまさず、欲望に走るのは極めて遺憾である。
その想いを詠んだのが、「ゑ」の歌なのです。
酔える世を 醒ましてもやらで 盃に 無明の酒を 重ぬるは憂し
では、今日も、鹿児島のこの言葉でお別れしましょう。また明日。毎日ごわんそ!