今週も「西郷南洲遺訓」からご紹介しています。
今日は第13条「安易な増税をしてはならない」という教えです。
だから、国として取り組む事業が多く、財政不足で苦しむようなことがあっても、
決まった制度をしっかり守り、むやみに租税の法制を変えたりしてはならない。
政府高官や裕福な人たちが損をすることがあっても、一般の人々を苦しめることがあってはならない。
古来からの歴史をよく見てみるがいい。
人の正しい道、道理が通らない世の中にあっては、財政不足で苦しむ時、
必ず小賢しい考えの小役人を用いて、その場しのぎをする人間などを、
財政がよくわかる立派な官僚だ・・・などと思ってしまう。
しかし、そういった小役人は、手段を選ばず、無理やり国民から税金を取り立てるから、
人々は苦しみ、堪えかねて、税の不当な取り立てから逃れようとして、嘘いつわりを言うようになる。
そして互いにだましあい、役人と国民が敵対して、最終的には国が分裂、崩壊するように
なってしまうのではないか。
政府の財政が立ちいかなくなったからと言って安易に増税する政策を、西郷さんは手厳しく批判しています。まずは税金を納める人の立場に立って、「租税はできるだけ軽くすべし」と説いています。
これは、若い頃に薩摩藩の下級役人として税取り立ての現場で働き、貧しい農家の実情をよく知っていたからこそ、至った考え方かもしれませんね。