薩摩の教え

西郷南洲遺訓 第21条「己に克つ」(前半)

「西郷南洲遺訓」から、今日と明日は2日にわたって、「敬天愛人」という言葉が出てくる第21条をご紹介します。今日はまず前半部分です。


人が正しく生きる道というものは、天地自然の道理である。

学問というのは、その道を知るために、
「敬天愛人」すなわち、天を敬い、人を愛する・・・という
境地を目的にしなくてはならない。
そのためには、「己に克つ」ということを心がけねばならない。

自分自身に克つという意識を持つことは並大抵のことではないが、それを『論語』では、
「わがままをせず、無理をせず、固執せず、我を通さず」…と表現している。

一般的に、人は自分に克つことによって成功し、
自分本位に考えることによって大事なことを見失い、失敗するものだ。


自分に打ち勝つ克己心の大切さを西郷さんは伝えています。

敬天愛人は、西郷さんが理想とした境地です。
天を敬うとは、人として正義を貫き、大いなる天=自然の摂理に敬意を払い大切にすることを意味します。「人を愛する」は、文字通り他人を思いやり、愛しなさいということ。

この敬天愛人は、西郷さんオリジナルの言葉と思われがちですが、実は明治の思想家、中村正直が訳した「西国立志編」に紹介されている言葉だそうです。

もともと中国で、儒教とキリスト教が出会ったことによって生まれた言葉なんですね。
自分本位に考えると大事なものを見失って失敗するということは良くあると思います。

自分だけで出来る仕事などには限界があって、規模の大きな取り組みほど人数を要しますので、いかに全体のことを考えて自分の役割に徹することが出来るかが大事ですよね。

原点に立ち返りたいときなどに強く響く金言になりそうです。
明日は、この続き、西郷南州遺訓 第21条の後半をお送りします。

西郷南洲遺訓 第20条「制度や方法より、大切なのは人である」前のページ

西郷南洲遺訓 第21条「己に克つ」(後半)次のページ

関連記事

  1. 薩摩の教え

    郷中教育15

    今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介していきます。これ…

  2. いろは歌

    いろは歌「ゆ」(39番目の歌)

    今日ご紹介するのは、いろは歌の39番目の「ゆ」の歌です。弓を得て 失…

  3. いろは歌

    いろは歌「む」(23番目の歌)

    今日ご紹介するのは、いろは歌の23番目の「む」の歌です。昔より 道な…

  4. いろは歌

    竹田神社

    この番組では、これまで薩摩の戦国武将 島津忠良ただよし、別名 菩薩日…

  5. 薩摩の教え

    郷中教育19

    今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。先週か…

  6. 薩摩の教え

    西郷南洲遺訓 第13条「安易な増税をしてはならない」

    今週も「西郷南洲遺訓」からご紹介しています。今日は第13条「安易な増…

PAGE TOP