創業70年・伝統的工芸品指定の刃物店で刃物と技を磨く職人たち
11月8日は、い(1)い(1)刃(8)の語呂合わせで全国の刃物産地などが「刃物の日」としています。創業70年を迎えた鹿児島市の老舗鍛冶屋を取材しました。
鹿児島市宇宿にある深水刃物。1953年創業、70年にわたって伝統の鍛冶屋の技で刃物を作り続けていて、1995年には県の伝統的工芸品に指定されました。
家庭用からプロ用まで様々種類な包丁がずらりと並ぶほか、農作業用のくわや鎌、さらに、竹細工で使う刃物など扱う刃物は多岐にわたります。併設されている工場で、職人が刃物を一つ一つ手作業で作ります。
(深水清秀会長)「手作りの良さは、切れ味はいい切れ味が出る。昔ながらのカナヅチで叩いた包丁は錆びづらい」
刃物作りを支えるのは職人たち。しかし、高い技術が求められるだけでなく、高温の金属を扱うという、時には危険な力仕事でもあるため、なり手は年々、減っているといいます。
(深水清秀会長)「夏場になったら40度超えるし、火も飛んでくる、危なっかしいところもある」
そんな職人の世界に、今年、飛び込んだ青年がいます。伊堂寺洋平さん、36歳。介護職などを経て、今年7月に入社しました。伊堂寺さんも手作業に魅せられた1人です。
(伊堂寺洋平さん)「こだわりもそのまま反映されるし、ぬくもりとか、持った時に変だよなとお客様が感じるところで人間らしさがあっていいなと。なので手作りが一番いいなと思う」
入社5か月、早く1人前になれるよう、仕事終わりに工場に残っては、包丁を研ぐ日々を送っています。
(伊堂寺さん)「1本で…大体3日から4日。会長とか先輩に見せると、いやーと言われるので、それがまた楽しい」
(深水清秀会長)「器用さもあるが、やる気が一番大事。好きだな、やり続けたいという気持ちがあったら絶対よくなる」
一流の鍛冶職人になるために、その腕と包丁を磨き続けます。
(伊堂寺洋平さん)「薩摩から海外に向け、深水ってすごいよなと言われる刃物を作れるようになったり、子どもたちが遊びに行こうと地域に根差した刃物屋になれたらなと思う」
深水刃物では刃物を製造・販売するだけでなく、メンテナンスも行っていて、毎月第1土曜日には刃物研ぎ講習を開いています。