• HOME
  • 特集 , 特集・レポート
  • アロマ製造の若き大学生社長が目を付けたのは「コアラのユーカリ」 8割破棄を有効活用 鹿児島(2023年6月9日放送)

アロマ製造の若き大学生社長が目を付けたのは「コアラのユーカリ」 8割破棄を有効活用 鹿児島(2023年6月9日放送)

鹿児島県いちき串木野市の、久木田紫絵留さん。大学生でありながらアロマ製造を手がける会社の若き女社長でもあります。こだわりは捨てられるはずだったものから香りを抽出すること。地元の特産品やコアラの食べるユーカリを活用する取り組みを取材しました。


(合同会社『ル シエル フュゼ』代表 久木田紫絵留さん)「いちき串木野市の魅力を、香りを使って世界中に広げていきたい」

いちき串木野市の大学1年生・久木田紫絵留さん(19)。2年前、合同会社「ル シエル フュゼ」を起業した、若き社長です。

(紫絵留さん)「資本金は4万円。おこづかい」

幼い頃から香りに興味があった紫絵留さん。小学6年生でアロマテラピーアドバイザーの資格を取りました。

(紫絵留さん)「この機械が『水蒸気蒸留法』という方法で精油をとる機械です」

研究を重ねたオリジナルの製法で精油を抽出。地元いちき串木野市の特産品・サワーポメロからつくるルームフレグランスは、甘酸っぱいフレッシュな香りが好評で、ふるさと納税の返礼品としても人気です。

こだわりは「捨てられるはずだったもの」から香りを引き出すこと。
年間およそ300トン出荷されるいちき串木野市のサワーポメロ。しかし全体のおよそ1割は規格外で出荷できなかったり、栽培過程で間引きされ廃棄されます。

(紫絵留さん)「生産者さんの想いがつまっているので、いくら廃棄するといっても」
(農家)「うれしいですね」

廃棄されるものに新たな価値をつけるフレグランスは、去年、シンガポールにも輸出され、現地の無印良品で販売されました。

そして、今取り組んでいるのが・・・。

(紫絵留さん)「こちらの記事を読んで、私に何かできることはないかと」
(平川動物公園の飼育員 村上浩一さん)「コアラが食べているユーカリの匂いですね」

コアラの飼育数日本一の平川動物公園。園内のユーカリ畑で、飼育員自ら栽培・収穫しています。全国でも珍しい、独自のスタイルです。

(飼育員 村上さん)「こちらが、コアラが食べ終わったあとの廃棄されるユーカリです。ほとんど新芽しか食べないので、1本あげたとしたら、上のほうををちょこっと食べて下の方は食べない」

1日100キロ与えますが、コアラたちは新芽以外の8割は食べ残してしまいます。紫絵留さんはこの「廃棄されるユーカリ」に着目しました。

(紫絵留さん)「ワークショップとしてルームフレグランスづくりをしたいなと」
(飼育員 村上さん)「コアラが食べているユーカリの匂いをダイレクトに感じられる」
(紫絵留さん)「いい香りを求めなくてもいいのかなと思っていて、せっかくならコアラと一緒の空間にいるように感じられる香りにしたい」

園内で育てているユーカリは13種類。それぞれから精油を抽出しブレンドした、オリジナルの香りが出来上がりました。

(紫絵留さん)「匂いが強いユーカリは除いて、いい香りをブレンドしたものになります。できる限りコアラ館の、たくさんユーカリがある感じにしたかったので、そこを追求してみました」

先週、初めてのワークショップを開きました。参加したのは抽選で選ばれたコアラファンたちです。

(参加者)
「いい香りします。さわやかな感じ」
「コアラ館の香りがして、ふつうの(市販の)精油の上品な感じとは違う」
「コアラがすごい好きで、コアラ館に行けないときに部屋にシュシュッとしてコアラのことを思い出したい」

(紫絵留さん)「今まで私たちがしてきた廃棄を利活用する活動が、平川動物公園さんとコラボでよりいろんな方に知ってもらえて、それを喜んでくれる方がいるのが一番うれしい」

(飼育員 村上さん)「廃棄してきてもったいないな、という思いがずっとあったので。製品にして販売とかできたらいいなって思ってます。夢の夢ではあるんですけど」

捨てられるはずだったものから生み出す、鹿児島ならではの香り。平川動物公園では今後、ユーカリアロマの商品化も目指したいとしています。

ユーカリアロマの商品化はまだ未定ですが、久木田さんのサワーポメロのアロマなどはネットショップなどで購入できます。