地域防災 宇検村自主防災組織の課題
今回は、今月13日に梅雨入りした奄美地方からです。
奄美は、豪雨災害やそれに伴う土砂災害に繰り返し襲われてきました。
宇検村では住民自らが防災に備える自主防災組織の見直しの動きもある一方、課題も出てきています。
人口1700人余りの宇検村。村に14ある集落のうち13集落が
傾斜が急な山と海にはさまれていて、たびたび土砂災害に襲われてきました。
2012年の台風17号の際には、道路が土砂崩れでふさがれ、3つの集落が孤立。
物資は船で運ばれましたが、停電などの作業車両が陸から入れず、復旧が遅れました。
村で2番目に多い128世帯256人が暮らす芦検集落。
集落の中心部は3方が山に囲まれていて、土砂災害のおそれがあるだけでなく、集落を流れる大良川が氾濫するおそれもあります。
こうした災害に備えるため、地区では自主防災組織が2000年から活動を続けていて、住民の参加率は100%ですが、
形骸化しているという危機感があり、去年、組織の見直しを図りました。
それは、住民を消火班、避難誘導班、救護班の3つの班に分けて役割を明確化するもので、住民にそれぞれの立場から災害への備えを見つめなおしてもらうものでした。
「災害が起きた場合は地元にいる人が一番大事。消防団は昼間は仕事をしている人がほとんど。シマ(集落)に常駐している人が関心をもって実際に行動が移せるように」
一方、課題もあります。それは深刻化する高齢化です。宇検村の高齢化率は40.07%と県を大きく上回っているのです。
「災害が起きたときに高齢化率の高い自主防災組織ではすべてが補えることができないので行政や他の方から支援をもらわないと運営が厳しい」
宇検村では、全集落の避難場所に発電機を配備し、役場から離れた8集落には、非常食を備蓄するなど集落の孤立化した場合の対策も進めています。
しかし、最終的には住民自身の取り組みが必要となるだけに、高齢化が進む中で自主防災組織の機能をどう維持させていくのかが今後の大きな課題となっています。