地域防災②霧島山 火山防災への取り組み
今回は霧島山周辺の学校で行われている火山防災への取り組みです。
霧島連山の新燃岳は、2011年1月26日、本格的なマグマ噴火をし、その年の9月まで噴火を繰り返しました。
その後火山活動は落ち着いていますが、現在、噴火警戒レベル2の「火口周辺規制」が続いています。
霧島山の火山活動を研究している鹿児島大学の井村隆介准教授は、6年前と同じ規模の噴火が起きる可能性もあると、指摘します。
鹿児島大学井村隆介准教授
「一時期より地震の数も減ってきているが、地下活動は継続している。新燃岳の噴火から6年だが、噴火直前のマグマだまりの状態にほぼ戻っているので、
もし噴火がはじまると、6年前と同じような規模の噴火になる可能性があることも理解してほしい」
2011年の新燃岳の噴火を受けて、翌年から、霧島市の小中高の3校が国の防災教育のモデル校に2年間指定され災害時に必要とされる判断や技能を身につけるための取り組みを始めました。
その中の一つ、霧島市霧島の大田小学校は、新燃岳からおよそ11キロの位置にあります。
学校では、モデル校の指定が終わってからも毎年訓練を行っています。特に、災害が発生した場合の保護者への引渡し訓練を重視しています。
学校にはこの春、1年生20人が入学し、全校児童は109人になりました。防災への取り組みを指揮する松本慎一郎校長は、今年で3年目になります。
大田小学校松本慎一郎校長「毎年新入生が入って来ますので保護者が来られない場合の第2次の引渡しは祖父母になるのか、
確実に子どもたちを安全に保護者に引き渡して避難できるようにカードの見直しと作成を現在進めている」
しかし噴火から6年、松本校長は、記憶が薄れてくる中で、いかに子どもたちの命を守る取り組みをするのか、検討を重ねています。
大田小学校松本慎一郎校長「気をつけていることは、形骸化。災害が起こらないという慣れ、(災害は)いつでも起こりうると最悪(の事態)を考えて、最善の手を尽くさないと。命はひとつなので、今後も検討、改善を加えながらやっていかないといけない」
新燃岳からおよそ6キロ離れた霧島市牧園町の高千穂小学校です。
高千穂小学校では、噴火以降独自で防災への取り組みを行っています。
岩戸淳校長は、この4月に赴任してきました。校舎の窓ガラスに貼られた飛散防止のフイルムに驚き、活動する山が近くにあることを実感したと話します。
高千穂小学校岩戸淳校長「足を踏み入れた時に、窓ガラスにテープが張られ、各教室にヘルメットが備えてある。
昨年のPTAのバザーの益金で非常用の食料、水も備蓄しているのを見たときに、いつどんなときにどこで起こってもおかしくないということを念頭に入れた取り組みをしていると、感じた」
噴火から6年、体験した教職員もいなくなる中、学校では外部から専門家を招き、子どもたちと一緒に話しを聞き、命を守る手立てを学んでいます。
国が進める実践的な防災教育に関わってきた井村准教授は、防災教育が各地に広がることを期待しています。
鹿児島大学井村隆介准教授「2年間のプログラムが終わった後も、大田小学校では避難訓練を続けている。
霧島中学校も学校登山のときに、霧島を学ぶプログラムが続いている。
これらを継続していくと、子どもたちが大人になった時に、お父さんやお母さんたちもやったよと、なっていくと非常にいいことだと思う。
そういう防災教育が霧島のエリアだけでなくもっと広がってほしいと思う」子どもたちの命を守るための防災教育。これからも継続した取り組みが望まれます。