「かぜのでんわ」
東日本大震災の発生から明日で7年となります。私事で恐縮ですが、毎年この時期になるとふるさと宮城県で被災した7年前のことを思い出してしまいます。私は幸い津波の被害にあいませんでしたが、普段からここは海から何メートルだろう、地震がおきたら何をしたらいいだろうと考えることがあります。ラジオをお聴きのみなさんも1年に1度、ご家族で地震など災害時にどんな行動をとったらいいのか話し合っていただければと思います。
震災から7年経ちました。被災地の復興は進み、震災前の生活に近づいた、ふるさとから離れなくてはならなかった方々も新しい生活に慣れた頃だと思います。私も実際に被災しましたが、ふるさと宮城に帰って感じたことは、街の復興は進んでいても「心の復興」には時間がかかるということです。震災から5年の年に、震災で家族を亡くした高校の同級生に話を聞きに行きましたが、大切な方を亡くした人にとっては5年の節目や7年というのは何の意味も持たないと話していました。「心の復興」は簡単には進まず、時間がかかります。今日は「心の復興」にご尽力されている方の活動をご紹介します。
また、震災から7年ということもあり、震災後に生まれた、震災を知らない子どもたちもたくさんいると思います。
今日の山口プロモーションではお父さん、お母さんと一緒にみんなに読んでほしい絵本も一緒にご紹介します。
想いを風にのせ 会えなくなった人と心で話す「風の電話」
岩手県大槌町に置かれている電話ボックスのことです。震災の前の年、2010年冬、いとこを亡くした庭師・佐々木(ささき)格(いたる)さんが、海辺の高台にある自宅の庭に電話ボックスを設置し、電話線がつながっていないダイヤル式の黒電話「風の電話」を置きました。
翌年の3月11日に発生した東日本大震災を受け、津波の被害を目の当たりにした佐々木さんは「風の電話」の周りをはじめとした敷地を整備し、12年4月には2階建ての建物「森の図書館」を開設しました。こちらには全国からおよそ4000冊が寄贈され、事前予約が必要ですが入館することができます。電話ボックス内には風の電話と1冊のノートが置かれており、やって来る人は、電話で亡き人に思いを伝えたり、ノートに気持ちを書いたりします。電話機の横には
「風の電話は心で話します 静かに目を閉じ 耳を澄ましてください 風の音が又は浪の音が
或いは小鳥のさえずりが聞こえたなら あなたの想いを伝えて下さい」
と記してあります。この場所には17年5月までに、
およそ2万5000人が訪れているそうです。
東日本大震災を忘れないために いのちの絵本「かぜのでんわ」
岩手県大槌町の「風の電話」をモデルにした絵本が14年2月 金の星社から刊行されました。
絵本作家、挿絵画家のいもとようこさんの絵本で、いもとさんの可愛らしく優しいタッチの動物たちの絵本は
みなさんも目にしたことがあると思います。絵本「かぜのでんわ」は動物たちのお話となっています。
山の上に一台の電話が置いてあり、その電話は会えなくなった人に自分の想いを伝えることができるといわれています。
今日もその「かぜのでんわ」のもとには会えなくなった人に想いを伝えるため動物たちがやってきます・・・。
突然訪れた別れには「最後に一言伝えたかった」という想いが残ります。
その想いを「風の電話」で伝えることで大切な人を亡くした方が一歩前に踏み出すきっかけになればいいですね。
町の復興はこの7年で進みましたが、大切な人を亡くした人の心の復興は道半ばだと思います。
鹿児島県も地震や水害、新燃岳、桜島などの噴火災害などいつ災害が起きてもおかしくない未災の地です。
7年前東日本大震災が発生した明日3/11に、
改めて震災のこと、防災のことについてご家族で話し合われてみてはいかがでしょうか。