黄金に輝く千本銀杏と陽だまり

鹿児島の山々も紅葉で色付き、空気が一段と冷たくなってきました。
鹿児島空港への着陸前に見えてくる霧島連山にも赤や黄色が混じり、空から見下ろす景色にも秋の深まりを感じます。

ちょうど今ぐらいの季節、垂水市の千本銀杏を訪れた時のお話です。
垂水フェリーを降りてから15分ほど車を走らせたところに千本銀杏という銀杏の名所があります。
もともと私有地であった山を、土地の持ち主であるご夫妻が手入れし、銀杏の木を植えられました。
「千本銀杏」と名付けられているように、なんと園内には1200本以上の銀杏の木が植えられています。

銀杏園に足を一歩踏み入れると、日常を忘れてしまうような別世界が広がっています。
並木道が続いていたり、傾斜があるところでは空や平地の方へ枝葉が伸びていたり。
高台からは、銀杏の黄色の間から垂水の町や錦江湾を見渡すことができます。
桃源郷のような美しい景色に、すっかり魅了されてしまいました。

暖かな秋の夕陽に照らされ、上を見上げると銀杏の葉が光を受けて、空気まで金色に見えてくるようでした。
足元には、ふかふかの黄色い絨毯。
どの角度から見ても絵になる景色と、背にぽかぽかと陽の暖かさを感じながら、幸せな時間を過ごしました。

日が落ちてからはライトアップされ、月明りに浮かび上がる銀杏がなんとも美しく、昼とはまた違った景色を楽しませてくれます。
冷たく澄んだ空気に冬が近づいているのを感じながら、黄金に輝く銀杏と月の優しい光に見守られているような気持ちになったことを思い出します。