MBCでは今週を「SDGsWEEK」とし、ニューズナウでは二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指すカーボンニュートラルについて特集しています。
今回は、環境に配慮しながら事業を進める県内企業の取り組みを紹介します。
鹿児島県曽於市末吉町の機械メーカー「マトヤ技研工業」です。1985年創業で、骨と肉を自動で選別して骨だけを取り除く機械などを開発し、食肉処理機械メーカーでは国内トップシェアを誇ります。
2009年には、県内で39企業しか取得していない環境に配慮した経営に取り組む企業に対する環境省の認証制度「エコアクション21」を取得。環境への取り組みは企業として発展していく上で必要と話します。
(マトヤ技研工業 益留福一会長)「私たちが子どものと時とは全く気温も違う。大きな会社との取引を始める時などは、そうしたこと(環境配慮)をやっているかというのは、今はもうどこも聞いてくる。すんなりやっていますと回答できる。そういう目に見えないプラスαはあるんじゃないか」
マトヤ技研工業では、社用車7台のうち5台をガソリン車からエコカーに変更。運転に伴う二酸化炭素の排出量は、取り組み前は5万117キロでしたが、4万8235キロに減りました。
さらに消費電力が最も多かったエアコンを省エネモデルに変え、照明を全てLEDにして昼の休憩中は消灯するなど節電に努めたことで、電力使用に伴う二酸化炭素排出量は、6万1252キロから4万5115キロに減りました。
そして、製品を作る際に出るアルミや鉄などの金属くずの分別を徹底することで、4年連続でリサイクル率90%以上を達成。一般ごみの分別も徹底するなど、環境守るという意識が社全体に根付いたといいます。
(社員 入社3年目)「最初は戸惑うところもあったが、今では自然と色々な分別をできるようになった。家でも自主的に分別に取り組むようになった」
(社員 入社4年目)「エコドライブやゴミの分別。気をつけながらしている」
そして、さらに力を入れているのが「節水」です。
(環境管理責任者 今村明さん)「雨水をこのタンクに1回溜めて、いっぱい溜まったところで雨水を車の洗浄に使うために、ここに雨水タンクを設けた」
300リットル入るという雨水タンクは使わなくなった製品を再利用しているため、経費はほとんどかかっていません。溜めた雨水は週に1回行う営業車やトラックの洗車に使います。
水道水を使う場合は浄水施設や水回りの機器で電気が使われ、発電に伴う二酸化炭素が出てしまいます。そのため、こまめな節水に取り組み、水の使用量が2007年度の486立法メートルから昨年度は173立法メートルにまで減ったことで、二酸化炭素の排出量も7万6685グラム減りました。
そして、環境への配慮は商品製造でも。
(製造部 岡元杏平さん)「自動車などの部品を加工する際に油と削りカスを分離して油を再利用できるようにする機械」
細かな金属が混ざっている油から磁石を使って金属を取り出し、ろ禍することで、油が再利用できるようになったといいます。
(岡元さん)「(Q.一度使った油は再利用する?)何回でも使えるような、すぐ捨ててしまうともったいないので、再利用できるように作っている機械」
こうした取り組みによって二酸化炭素の排出量が減る一方で、売上や製造量が伸びた場合はどうしても排出量も増えてしまうといいます。
排出量は増減を繰り返していて、実質ゼロにするカーボンニュートラルの達成は決して平坦な道ではありませんが、マトヤ技研工業ではその達成が自社だけでなく取引先や社会全体へのメリットになるとして、毎年1%削減の目標を掲げて取り組みを続けています。
(益留会長)「エコにつながるものは導入していかないと。お客さんは努力をして(C02を削減)できる部分もあるけど、多くは機械の性能に左右される。我々がそういう意識をもってやるのは重要なことだと思う。持続可能な開発ができる、そういう会社を目指している」