明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学んでいるこの番組。今週は、郷中教育の中の武術についてご紹介しています。
昨日は、示現流の流祖である東郷重位の教えについてご紹介しました。示現流を編み出した重位の「一生、刀を抜かぬものである」という言葉からは、刀を抜く時はまさに命がけである、という武士の覚悟が感じられました。
この東郷重位の編み出した示現流は、おもに上級藩士を対象として教授されていました。
一方、下級藩士らが学んだのが野太刀自顕流。大隅国の肝付家にゆかりの深い薬丸家に伝わる「野太刀」という兵法をもとにして編み出された剣術です。猿叫と呼ばれる雄叫びとともに、鬼のような形相で相手を打ち付ける一撃必殺の兵法は、新撰組にさえ恐れられたと言われます。
門下生には、西郷従道、桐野利秋、大山綱良、東郷平八郎、篠原国幹など数々の志士たちが名を連ねています。桜田門外の変で井伊直弼を倒した武士も、生麦事件でイギリス人に切りつけた藩士も野太刀自顕流の使い手でした。
こうして歴史を振り返ってみると、まさに郷中教育によって日々培われた精神力と武力が、維新の大きな原動力となっていたことに気づかされます。教育のちからって大きいですね。
来週も引き続き、示現流をはじめとする薩摩の兵法についてお送りしたいと思います。