薩摩の教え

示現流 その3

明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学んでいるこの番組。今週は、郷中教育の中の武術についてご紹介しています。

昨日は、薩摩で示現流じげんりゅうをひらいた東郷重位とうごうちゅういについてご紹介しました。お弟子さんが帰る時にもお見送りに出る礼節の人であったという話に感銘を受けました。剣術の腕前もさることながら、上下分け隔てなく接するその人格も、多くの弟子を引きつけたのでしょう。

 

必殺剣として世に知られた示現流ですが、その極意について、重位はこう語っています。

「自分が大切にしている刀をよく研ぎ、よく刃を付けておき、針金でさや止めをして、人に無礼を言わず、人に無礼をせず、礼儀正しくキッとして、一生、刀を抜かぬものである」

兵法の達人が残した、無用の争いは避けるように、という教えは、万一、刀を抜く時は相当の覚悟をもちなさい、という諌めの言葉にも聞こえます。刀を持つことのない私たちですが、重位の言葉には、現代にも通じる深い含蓄がありますね。

ちなみに、東郷重位のひらいた示現流は、示すという字に、現実の現という文字で表しますが、薩摩にはもう一つの「じげんりゅう」の名を持つ剣術の流れがありました。こちらの「じげんりゅう」は、自ら、おのずから、という言葉の「自」に、あらわれる、顕著という言葉に使われる「顕」があてられています。宗家の名前や受け継がれる流儀を冠して、野太刀自顕流、薬丸自顕流などと呼ばれる流派です。

 

明日は、薩摩の武士たちが学んだ、もう一つの「じげんりゅう」についてお話しします。

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