薩摩の教え

西郷南洲遺訓 第11条「真の文明とは何か」

今週も、西郷さんが遺した教え「西郷南洲遺訓」からご紹介しています。
今日は第11条「真の文明とは何か」についてです。


文明というのは、倫理、道徳に基づいて、物事が広く行われることを称える言葉であって、宮殿が大きく立派であるとか、身に纏うものが綺麗だとか、見かけが華やかである…などといったことではあるまい。

ところが、世の中の人の言うところを聞いていると、何をもって文明なのか、何をもって野蛮としているのか、まったく分からない。

以前ある人と議論したことがある。

自分が「西洋は野蛮じゃ」と言ったところ、その人は、「いや、西洋は文明ですよ」と言う。
「いやいや、野蛮じゃ」と畳み掛けると、「何故それほどまでに野蛮だと申されるのか」と不満げに言い返してきた。

そこで、「もし西洋が本当に文明の国であったなら、開発途上の国に対して慈愛の心を持ち、よくよく説明説得して、文明開化へと導くべきであるのに、それとは逆に、時代に遅れた国に対してほど、むごく残忍なことをし、自分たちの利益のみをむさぼってきたではないか。これは明らかに野蛮である」と言ったところ、その人もさすがに口をつぐんでしまった。


西洋は素晴らしいと褒め称えられるこの時代、西郷さんは、西欧列強による植民地主義を批判しています。西洋の科学技術や物質文明に学ぶべき点は学ぶ一方で、何でもかんでも西洋化することには反対しています。これは昨日ご紹介した第10条ともつながります。

自分の生まれた国を愛し、表面的なブームに流されず、何が大切なのか本質的に考えることが大切だと言われているような気がします。

明日は、西郷南洲遺訓・第12条をお送りします。

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