薩摩の教え

郷中教育28

今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。
今回は、郷中の組織・構成についてお伝えします。

組織は、年齢別になっていて、大きく分けると、「稚児」、「二才」、長老ちょうろうである「長老おせんし」の3つに分かれます。

さらに細かく見ると、稚児には、「小稚児」「長稚児」の二つの区分けがあり、
「小稚児は、6・7才から10才まで」
「長稚児は、11才から14・15才まで」を言います。

その稚児の段階を終えると、
『二才となり、年齢は、15・16才から24・25歳まで』です。

そして、さらに上の長老おせんしは、二才を終えた24・25才以上の二才のこと」で、簡単に区別する手段として、妻帯者のことを長老おせんしと呼んでいたようです。

 

この稚児・二才・長老おせんしの区別は、それぞれの方限ほうぎりで少し異なっていたようですが、ここでは、標準的な年齢制限をご紹介しました。

地域によって異なる年齢ですが、さらに稚児の呼び方も方限ほうぎりによって違いました。

 

例えば、「小稚児・わらべ稚児・ヘゴやま稚児・或いは単純にヘゴ稚児」などがあります。
なぜ、ヘゴやま稚児・ヘゴ稚児と呼んだのでしょうか?

ヘゴとは、シダのことですが、内藤喬ないとうたかし 著 『鹿児島民俗植物記』には、
「県下では、大隅南端、薩摩半島枕崎・笠沙などに自生、天然記念物に指定されている」
と記されています。つまりシダ(ヘゴ)が繁っている山に入って遊ぶ稚児たちをヘゴ稚児と呼び習わしていたようです。

このように山に入って身体を鍛える。それを先週もご紹介した「山坂達者」と呼び、郷中教育の掟の一カ条に加えていたと推測されるのです。

 

では、今日も、鹿児島のこの言葉でお別れしましょう。また明日。毎日めにっごわんそ!

郷中教育27前のページ

郷中教育29次のページ

関連記事

  1. 夏休みこども企画

    夏休みこども企画「三州親善かるた取り大会」④

    今週は、先月21日に行われた「三州親善 日新公いろは歌かるた取り大会」…

  2. 薩摩の教え

    西郷南洲遺訓 編纂の様子~菅秀二さんのお話②

    今日も庄内藩中老・菅実秀の玄孫、菅秀二さんのお話をお送りします。昨日…

  3. いろは歌

    いろは歌「て」(35番目の歌)

    今日ご紹介するのは、いろは歌の35番目の「て」の歌です。敵となる 人…

  4. いろは歌

    南さつま市立 川畑小学校

    この番組では、これまで菩薩日新公ぼさつじっしんこうが作った「いろは歌」…

  5. いろは歌

    いろは歌「ゑ」(43番目の歌)

    今日は、いろは歌の43番目の「ゑ」の歌をご紹介します。酔ええる世を …

  6. 薩摩の教え

    西郷南洲遺訓 第36条「書物の上だけの知識ではなんの役にも立たない」後半

    明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さ…

PAGE TOP