「西郷南洲遺訓」から、今日は第16条「国を維持するために必要なこと」についての教えです。
国家を維持することなど決してできない。これは西洋各国でもみな同じであろう。
上に立つ者が、下の者に対して、自分の利益のみを争い求め、人としての道を
忘れてしまった時には、下の者もまた真似をし、人の心はみな、欲望だけを追い求め、
金儲けに走り、卑しい気持ちが日に日に増していく。
道義を守って恥を知る心や慎みを失って、親子兄弟の間でも財産を争い、
互いに敵視し、憎みあうようになってしまう。
このようになってしまったら、何をもって国を維持することができようか。
徳川の時代は、武士の勇猛な心を忘れさせ、それで世の中を治め、
長い間 天下泰平を実現したが、時代は変わった。
今は昔の戦国時代よりもなお一層、勇猛な心を奮い起こさなければ、世界のあらゆる
国々と対峙することさえできはしない。
普仏戦争の際、フランスが三十万の兵と三ヶ月の兵糧があったにもかかわらず、
ろくに戦いもせずに降伏した・・・という話があるが、
これはフランスの指導者らがあまりにそろばん勘定に長け、
「自分の命と財産を守る」ことばかりを考えていたからである。
そして上に立つものこそお手本であれとメッセージを込めていますね。
明日は西郷南州遺訓 第17条をお送りします。