先月から西郷さんが遺した教え、「西郷南洲遺訓」をご紹介しています。
人としての道から、政治や外交にあたっての心構え…など、現代にも通じる珠玉の教えを説いた遺訓集ですが、(原文は昔の文体で書かれており、耳で聞いて理解するには少し難しいので)この番組では、南日本新聞社の桑畑正樹さんがお書きになられた「西郷南洲遺訓」を基に現代語訳でお伝えしています。
今日は第15条「軍備は無駄に拡大してはならない」という教えです。
決して際限なく軍備を増やし、兵力を増強して、虚勢を張ってはならない。
兵士の気力を奮い立たせ、えりすぐった精鋭ばかりの軍隊を作り上げれば、
たとえ兵士の数が少なくても、外交交渉の場において、
また、外国の侵略を防ぐような有事の場合にも、
軽く見られたり、あなどられたりするようなことはないであろう。
韓国へ兵を送るかどうかを議論する征韓論について、ご存知の方も多いと思いますが、
これによって明治政府内に対立が起こり、西郷さんは政府を辞め、鹿児島に帰ってしまいます。
このとき西郷さんは征韓論ではなく、「遣韓論」、すなわち、西郷さん自身が韓国へ行って交渉すると主張しており、必ずしも軍隊を派遣しようとしていたわけではありません。
西郷さんといえば、征韓論や西南戦争といったイメージが強く、軍国主義者のように思われるかもしれませんが、実は違っていたんです。軍隊そのものは否定していませんが、「国防費は必要最小限にせよ」と主張し、その上で平時の外交交渉に活かし、有事の際には自衛に努めるべしと考えていたのです。
第15条「軍備は無駄に拡大してはならない」という教えをご紹介しました。