【#47】亀﨑染工 亀﨑昌大さん
今週もお聞き頂きまして、ありがとうございました。
「日本を元気に!あなたの街のささえびと」リポーターの鶴園直子です。
このコーナーでは、「私たちの日常を支える人」すなわち“ささえびと”。
地元や地域、街を盛り上げ、元気にしようと頑張っている“ささえびと”をご紹介します。
いよいよ卒業・入学の春を迎えようとしているこの時期ですが、
今回はそんな「晴れの門出を支える人」をご紹介します。
今日は、漁師町いちき串木野市で、
県の伝統工芸品にも指定されている大漁旗や五月のぼり、
いわゆる「祝い旗」を、昔ながらの「印染」という技法を使って、
今も手染めで仕上げている職人さんがいらっしゃるんです。
「亀﨑染工」の5代目亀﨑昌大さんにお話を伺いました。
🏁今が1年で1番お忙しい時期です!
現在は、端午の節句に向けての五月のぼりが時期的に忙しいのですが、
年度末に向けて、部活やスポーツ少年団などの、卒部記念や卒団記念の応援旗なども多いです。🌸
🏁そもそもどれくらい前から作られているものなの?
私のところは、初代が明治二年に熊本で創業しているのですが、
五月幟も大漁旗も恐らくその当時から作り始めていると思います。
技法自体は基本的には、その当時とあまり変わらない技法で作っています。
全国的には江戸時代から続く同業者もいますので、技法としてはそれ以前にほぼ確立されているものです。
五月のぼりで、柄の部分を大きな手彫りの型紙を使って作業をしているのは、県内では私のところだけになりました。
🏁亀﨑さんが日頃作る上で、大切にしていることはどんなことですか?
私たちの仕事は、贈り物を贈る方たちの代わりに、その想いを形にしていくことなんですね。
「贈る方が、贈られる方への想いを込められる「器」を造っているんだ」と思うんです。
余計な事を考えず、請けた商品を綺麗に仕上げる事に集中することを心がけています。
贈る方が「これだったら、自分の想いや気持ちを乗せられる」と普通に思ってもらえるには、
私たちはただただ良いものを作る。そのためには何が必要なのかを考えています。
🏁手間暇のかかる大変なお仕事・・・それでも亀﨑さんが続ける理由は?
手間暇かかる工程があるからこそ、
他の方法では表現できない、何とも言えない味わいとなることを知っているからです。
単純にデジタル化して効率よくというものではないものがあります。
それと、あえてその手間暇をかけないと、伝統技術は無くなっていきます。
私たち職人が使っている道具は、特殊なものが多いです。
ただ現在私たち染色の職人も、全国的に少なくなってきており、
その特殊な道具の需要も少なくなってきています。
そうするとその道具を作っている職人さんも、急激に減ってきていて、
私たちが仕事をしたくても道具が手に入らない時が来るかもしれません。
新しい表現方法を、デザイナーさんをはじめ、色んなクリエーターの皆さんと模索しながら・・・、
でも染色加工の部分では、手染めという伝統的な技術使って、
人の手が作り出すものの魅力を、皆さんに知ってもらいたいからです。
🏁最近は「額」に入れて飾れる鯉のぼりとか、大漁旗を作っていらっしゃいます!
伝統や風習は、その時代時代で少しづつ変わっていくものだと感じています。
五月幟も、住宅事情が変わったり、個人情報を言われるようになったりして、
室内で飾れるものをお求めになられる方が増えてきました。
また大漁旗も、進水のお祝い以外にも、
誕生のお祝いから、結婚のお祝いや退職のお祝い、
還暦のお祝いなどの「ハレの場」で贈られるものも増えてきました。
勿論従来通りの商品だったり、サイズを小さくするだけのものもあるのですが、
伝統的な技術を使いながらも、新しいお祝いの形を提案したいと考えています。
🏁これからお仕事を通して、皆さんをどのように支えていかれたいですか?
我々は、ただモノを売るだけではなく、
色んな方々の思いを形にする為に、日々技術を磨き、生活の中に喜びと彩りを添え、
また地域の祭りや文化を支え、伝える誇り高き仕事をしているものと自負しております。
私たちが本物を受け継ぎ伝えていく中で、周りに居る人、関わってくれる人が少しでも元気になったり、
生活を豊かにできたらいいなと思います。
あとは個人的には「職人ってカッコいい!✨」と言われるように頑張ります!