ととナビvol.167 原耕とカツオのこぼっさき

そろそろ下りガツオの季節・・・。今週は、鹿児島とカツオのお話です。

 

鹿児島県内で「カツオの町」といえば、枕崎を思い浮かべますが、指宿市の山川も有名ですし、奄美でも獲れます。

そして実は、枕崎のとなりの坊津も、かつてはカツオ漁業の町としてにぎわっていたんだそう。。。

ところで、皆さんはこの方をご存知ですか?・・・

 

この方は、原耕(はらこう)さん。

カツオ漁業の発展はこの人のおかげといってもいい人なんです。

 

🙇🏻:「原さんは医者であり、衆議院議員を務めたこともあるすごい人です。枕崎で開業医をしていたんですが、実家がカツオ漁業の経営をしていたんですね。そしてあるとき、家業のカツオ漁業を継ぐ意思を固めたんです。

昔のカツオ漁は沿岸域で行われていたのですが、明治時代になると船が大型化されて漁場が沖合になりました。今のように遠洋まで出かけてカツオを獲るようになったのは昭和に入ってからなんですね。

カツオの漁場が沿岸から沖合、遠洋になったのは坊津だけではなく、枕崎も同じで、危険な小型船から大型の船に転換するためには造船所が必要でした。原さんは造船所の設立にも携わり、遠洋でのカツオの漁場開拓を行ったんですよ。原さんの漁場開拓があったからこそ、今のカツオ遠洋漁業がある・・・というわけです。」

 

そんな「かつお漁業の父」ともいうべき原耕さんは、坊津出身でした。

でも、今から50年位前に、坊津からはカツオ漁船が姿を消し、枕崎に集約されることになったんだそう。

 

🙇🏻:「今はカツオ漁船なき坊津ですが、カツオを使った伝統料理があるんです。「こぼっさき」という料理で、地元の人が発音すると「こぶっさっ」とか「こぶっしゃ」になるんですけどね。

こぼっさきはお花見や運動会などのハレの日に食べるものでもあり、保存食でもあったそう。ハレの日には必ず家長のお嫁さん、つまりおばあちゃんとかお母さんが一人で作ったんだそうです。」

 

 

 

 

 

作り方はこんな感じ・・・

①まずはカツオを拍子木切りにして、炭火で焦げ目がつくくらい焼きます(丁寧に全面に焦げ目を入れる)。

 

②そして焼いた熱いままのカツオを、醤油と砂糖の入った甘辛い煮汁でコトコトと2時間煮て、次の日にまた2時間煮て出来上がり。

とても時間のかかる料理ですが、当時の保存食としてはそのくらいの手間が必要だったんですね。

 

🙇🏻:「今はカツオの角煮というのがありますけど、それよりも旨味がギュッと凝縮されて、とてもおいしいですよ。坊津に勝八という食堂があるんですけど、先日そこの店主の宮田勝英さんに、昔ながらのこぼっさきを作っていただきました。ご飯のお供としてお箸で、焼酎のおつまみとしては手づかみで…、最高でしたよ。皆さん、坊津のカツオのこぼっさき、覚えておきましょう!!」

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