翻弄された2年 短大生の新たな一歩
この春、コロナに翻弄され続けた2年間の学生生活を終えた短大生。新たな一歩を踏み出しました。
鹿児島純心女子短期大学では先週、186人が卒業の日を迎えました。2年間の学生生活を常にコロナ禍で過ごした学生たち。英語科の中熊みらいさんもその1人です。
(中熊みらいさん)「本来だったら3月に行ける海外研修、行きたかった」
客室乗務員になりたいという中学生からの夢を叶えるために、英語科に入学した中熊さん。飛行機に乗るときには必ず、客室乗務員がよく見える通路側の席に座るほど、憧れの存在でした。
(中熊みらいさん)「近づいたらチャンスだなと思って話しかけてた。いろいろお話をしていく中でメッセージを残してくれたり、すごく嬉しかったのを覚えてます」
しかし、そんな夢にも新型コロナの影響が影を落としました。1年生から2年生になる春休みには、航空業界の仕事を学べるプログラムも組み込まれた1か月の海外研修が計画されていましたが、コロナの影響で中止に。
さらに、英語科の学生にとっては集大成の場である英語ミュージカルは、学内だけでの無観客開催に…。そして生活面でも…。
英語科の学生全員が1年間を過ごす“英語学習寮”。寮内での日常会話は英語で、会話力の向上を目指しますが、中熊さんの学年は期間が半年に短縮され、「黙食」が新しいルールに。せっかくの会話の機会も減りました。代わりにネイティブの教員と話す時間が設けられるなど、試行錯誤の寮生活だったといいます。
(寮監)「本当に制限、制限の毎日。こちらも苦しいし、学生もどうして、って。その中でも明るく、できることを一生懸命やった学年だった」
(中熊さん)「英語を勉強したくて入ってきたので、モチベーションは正直下がってしまった時もあった。英語科には同じ状況の友達がたくさんいて、『今後どうする?』と相談して、友達の存在は大きかった」
そして、就職活動では、新型コロナの打撃を受ける航空業界では客室乗務員の採用はほとんどなく、4月からは、県内の食品販売会社に就職することになりました。
かつての夢とは違う分野に進むことになったものの、自分にあった会社で前に進んできたいと考えています。
(中熊さん)「ちゃんと振り返ったときに、自分にとってベストな会社がもっとあるんじゃないかと、視野が広がったという意味ではコロナも悪いことだけではなかったと思っている」
こうして迎えた卒業の日。中熊さんは、晴れやかな表情をしていました。
(教員)「本当に異例づくめの大学生活だった。君たちは弱音を吐かず、ひたすら頑張ってきた」
(中熊さん)「ちょっと寂しいです(涙)辛いこともあったが、みんながいたからここまで来られた」
コロナに翻弄されながらも自分と向き合い続けた2年間を経て、中熊さんは新たな一歩を踏み出しました。
(中熊さん)「思い描いていた100%の学生生活を送ることはできなかったが、『チャンス・チャレンジ・チェンジ』という言葉があって、どこにでも自分を変えられるチャンスは転がっていて、勇気を持って挑戦して、人は変わっていく。そういうことを繰り返して成長していけるような人になりたい」