明治元年10月12日 榎本艦隊 蝦夷地へ
旧幕府海軍副総裁の榎本武揚ひきいる艦隊は、仙台領を出航し、蝦夷地へと向かいました。
榎本率いる旧幕府艦隊は、幕府が仙台藩に貸していた輸送船を加え9隻となり、多くの勢力がきょうまでに合流しています。
榎本艦隊に加わっているのは、前桑名藩主で京都所司代だった松平定敬、前松山藩主で幕府老中だった板倉勝静、歩兵奉行・大鳥圭介に加え、旧幕府のフランス軍事顧問団、土方歳三ら新撰組などの残党、会津藩筆頭家老の西郷頼母、奥羽越列藩同盟の主戦派などあわせておよそ3千人です。
一大勢力となった榎本艦隊は、きょう蝦夷に向かって仙台藩を発ちました。榎本は、新政府軍あてに「旧幕臣の働き口の確保と、ロシアの侵略に備えるため」として、蝦夷地を開拓する許可を求める内容の嘆願書を提出しています。嘆願書が認められない場合は、新政府軍との戦いも視野に入れているということです。
しかし、新政府が嘆願書を認める可能性は低く、榎本艦隊が蝦夷へ上陸すれば新政府軍との間で戦闘が発生するおそれがあります。