国体100日前ウィーク 選手と二人三脚で 車いすバスケチームを支えるトレーナーチーム(2023年6月28日放送)
今週は「国体100日前ウィーク」として、かごしま国体・大会に関する話題をお伝えしています。
激しいぶつかり合いもあり、コート上の格闘技とも言われる車いすバスケットボール。選手たちをケアし、けがの予防などを行うトレーナーチームを取材しました。
車いすを巧みに操り激しくぶつかりながら華麗にシュート。
車いすバスケの練習に励んでいるのは、10月のかごしま大会に県代表として出場する「薩摩ぼっけもん」です。2003年に発足し、2019年の全国障害者スポーツ大会九州ブロック予選では第3位。今回、初めての全国大会に9人の選手が臨みます。
一緒に練習しているのは、こちらも鹿児島の車いすバスケチーム「ナフティー」です。メンバーは、全員が健常者。理学療法士などの医療従事者で構成され、ぼっけもんの選手たちのトレーナーでもあります。
かごしま大会でも県代表の選手たちに帯同するほか、出場選手にアイシングやテーピングを行うコンディショニングブースなどを担当します。
ナフティーを立ち上げた、理学療法士の竹内直人さん(44)。県内の病院で働きながら、車いすバスケ選手のトレーナーとして活動し、リオデジャネイロパラリンピックで日本代表チームの帯同トレーナーも務めました。
(竹内直人さん)「脊椎損傷とか(足を)切断した人がやっていると聞いて、患者さんたちがこういうスポーツできるんだ、すごいなと思って、理学療法士として何か関われないかと思ったのがきっかけ」
選手をサポートをするだけでなく、自らも車いすに乗り競技をすることで、トレーナーとして得るものも大きいと言います。
(竹内直人さん)「僕たちが車いすに乗ることで、こういう障害の人はここが痛くなるんだとか、認識も高まって、理学療法士トレーナーとしてのケアにも役立つ」
(谷口拓磨選手)「練習が終わったあとに体のケアをしてもらうことで、次も高いパフォーマンスで練習できる。本当にありがたい」
(石原禎人選手)「一緒にプレーすることで、プレイヤーの気持ちも分かると思うので、体のケアだけではなくメンタル的なところもケアしてもらえるので。無しでは生きていけない」
ナフティーのメンバーはほとんどが20代から30代。若手トレーナーの成長や活躍の場としてのねらいもあります。
(車いすバスケ帯同トレーナー 小嶋良祐さん(28))「自分が(今大会で)帯同することになると言われたのは、まだ理学療法士を初めて2年目くらいだったので、すごく緊張した。選手の皆さんがベストなパフォーマンスを発揮できるように、自分が出来ることを精一杯やりたい」
(竹内直人さん)「ここでの体験や経験をいかして理学療法士・トレーナーとして、それぞれが成長していける場になれば」
大会まで100日。チームは普及活動にも力を入れています。
今月20日、神村学園専修学校で、ぼっけもんやナフティーのメンバーが指導役となり、車いすバスケの体験授業が行われました。理学療法学科の2年生43人が参加し、慣れない車いすに苦戦しながらも、選手たちと汗を流しました。
(学生)
「車いすを漕ぐのが難しかったけど、障害のある人とスポーツが出来て楽しかった」
「(選手は)迫力があってかっこよかった」
「今までの国体は何も知らない状態で見ていたが、こういう体験をさせていただいて、いろいろな目線で見られると思うので、すごく楽しみ。優勝目指して頑張ってほしい」
学生たちとの交流は、大会に出る選手にとっても大きな刺激になりました。
(下野勝也選手)「こういったところで知ってもらって、今度の国体で応援してくれたら僕たちの力にもなるし、嬉しく思う」
(谷口拓磨選手)「年が近い人たちとバスケを通じて触れ合えたのはとても楽しかった。地元開催で、地元の人たちに今まで自分たちが頑張ってきたことを見てもらいたい。優勝目指して頑張る」
(竹内直人さん)「選手が本気になったり燃えると、僕たちもサポートのし甲斐がある。選手が最高のパフォーマンスが発揮できるようにサポートしていきたい」
地元の応援を力に変え、選手とトレーナーが二人三脚で挑みます。