地域防災 九州北部豪雨災害 川内川は

シリーズ「地域防災」です。先週、九州北部を襲った記録的な豪雨は、河川の急激な増水とともに大量の流木を発生させ、甚大な被害をもたらしました。
県内でも起こりうる同様の災害に川内川やその流域の住民はどう備えればいいのか取材しました。

今月5日、九州北部では積乱雲が発達して、帯状に連なる「線状降水帯」が発生し、記録的な豪雨に見舞われました。

24時間の雨量は福岡県朝倉市で516ミリ、大分県日田市で336ミリといずれも観測史上最高を記録。

7月の1か月の平年値を超える雨が1日で降り、山林などでは土砂崩れが相次ぎました。

JNNのまとめでは福岡県と大分県の死者は31人となっています。

河川工学が専門の九州大学・小松利光名誉教授です。
おととい、土木学会調査団の顧問として被災地に入りました。
小松名誉教授は川が、急な増水ととともに、土砂と大量の流木で流れをせき止められて氾らんし、甚大な被害につながったと分析します。

九州大学小松利光名誉教授(河川工学)(69)「あふれる水は、流木を含んでいるので非常に破壊力がある、それが住居を襲うということで、
大きな災害に結びついたということが言える」「雨の降り方、それからそれによって起こる災害のあり方が従来とはずいぶん変わってきている、いまそのターニングポイントにあるのでは」

九州北部では、5年前にもほぼ同じエリアで豪雨災害があり、31人が犠牲になりました。
小松名誉教授は「今回の災害の特徴は5年前と同じで、氾らんの多くが川の本流ではなく、支流で発生した」と指摘します。

九州大学小松利光名誉教授「今回も(本流の)筑後川はほとんど問題ない、上流の小さな河川があふれて住居を襲ったということで、本当に小さな河川が非常にリスクを抱えていることが言える」

 

11年前に鹿児島で起きた「県北部豪雨災害」です。
薩摩地方北部は、発達した梅雨前線の影響で2006年7月19日から23日までの5日間で総雨量1165ミリの記録的な豪雨となり


県北部を流れる川内川やその支流が氾らんし、濁流に流されたり土砂が崩れたりし、5人が亡くなりました。

およそ50世帯140人が住む伊佐市大口の堂崎地区は川内川に注ぎ込む羽月川の分流、白木川沿いに広がる地区です。
11年前の県北部豪雨では、川内川の支流の白木川が短時間で氾らんし、濁流がこの地区を襲いました。

奥薗昭人さん(88)「想定外も想定外、ぜんぜん考えていないことが起きた、川上から水が来るとは思っていなかった」
この地区に住む奥薗昭人さんは今回の九州北部豪雨災害について自然の恐ろしさを改めて感じたといいます。

奥薗昭人さん「自然の力というものに、やっぱり世のなか人間は圧される、その強さにびっくりしている」
住民のなかには、自分の身を守る方法について改めて考えたという人もいました。

県北部豪雨災害を受け国は、川内川流域を、九州では最大規模の375億円かけて集中的に改修する激特事業などを行いました。

ハード整備はいまも着実に進んでいますが・・・
川内川河川事務所中原寛人調査課長「やはり、川の能力を超える洪水は起こりうるという意識を持ってもらうことが一番大事、
いろいろな情報を取り入れて自らが避難行動を起こすという取り組みが、個人の取り組みが一番大事になってくると思う」

川内川の防災にも関わっている九州大学の小松名誉教授は、住民が日ごろから防災意識を高めることの重要性を改めて強調します。
九州大学小松利光名誉教授「大きな川からは離れているけど、小さな川がすぐ近くにある、この川が流木などでふさがったらこっちに流れてくるね、というようなことを
やっぱり想定してそれに対して備える、”想像力の限界が防災の限界だ”という言葉がある、とにかくひとりひとりがまた地域が結束してあたらないと、
今後は災害は防げない、お役所に頼っているわけにはいかない」

県内はきのう(7/13)までに梅雨明けしましたが、これから本格的な台風シーズンを迎えます。大雨に対する備えは常に必要です。

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