幼少期から過ごしてきた奄美大島が世界自然遺産として評価されることをうれしく思っている。
奄美市立奄美博物館学芸員の平城達哉さん。
奄美大島の自然が世界から評価されということで、周りの人たちから喜びの声が聞こえていますし、子供たちと話をする機会があるときも、奄美大島の自然って本当にすごい場所だったんだねという、そういう声が聞こえてきます。
奄美大島徳之島、沖縄島北部および西表島の4つの島は、国際的にも希少な固有種が多く、生物多様性保全上重要な地域と評価されて、世界自然遺産に登録されました。
日本の面積の0. 19%にしか満たない奄美大島小さな島ですが、多くの生き物が暮らしています。
鳥を例に挙げると、日本で確認されている鳥は633種類いますが、奄美大島ではこの半分の315種類が確認されています。そのうち一年中観察できる留鳥ものが36種類、それ以外は全て渡り鳥ということになりますので、一年中奄美大島にその数すべているというわけではないのですけど、年間を通して様々な鳥が観察できます。
Q「鳥たちにとっても居心地がいい場所なのですね。」
奄美大島が、渡り鳥が移動するルート上に位置していること、それから休息する上で餌が豊富だということが、渡り鳥が多く記録されている理由と思っています。
Q「本当にもう一年中いろんな鳥を観察することができるわけですね。」
そうですね、鳥だけではなくて本当にここ奄美では、季節を問わず自然を楽しめることもまた一つの魅力かなと思っています。
Q「奄美市立奄美博物館の学芸員として、どのようなお仕事してらっしゃるんですか。」
最近では子供たちの環境教育に力を入れていて、年間30から40件ほど授業をしています。
また他にも今年4月に、奄美博物館公式ガイドブック『博物館が語る奄美の自然・歴史・文化』を刊行しました。博物館をより楽しむため、奄美を知るための入門書となっています。
Q「平城さんはブログも開設していらっしゃいますよね。」
個人的に作っているブログですが、年間120日以上、生き物の観察や撮影をしていますので、そういった日々、奄美大島の自然に触れ合っている様子というものをちょっとでも知っていただきたいなと思って発信しています。
写真を撮るのが好きなので、いろんな生き物を、誰が見てもわかるように、あまり難しい言葉は使わずに簡単な文章にまとめて発信するように努めています。
Q「この時代を生きていく上で、豊かさというのはどのようなことだと思いますか?」
私が住んでいる奄美大島は、自然の豊かさに満ち溢れていると思っています。
今回、世界自然遺産に登録されたのも生物多様性がキーワードになっていまして、私も山の麓の住宅地に住んでいるんですけど昨年、家の中の畳の上でアマミコカブトムシが歩いていたり、日によっては窓から早朝に外を眺めているとアカショウビンを観察できたりすることができます。
Q「ともに暮らしているというのがよくわかりますね。」
そうですね。家から車で2、30分ぐらいの場所で、アマミノクロウサギも観察できますので、本当に生まれ育った奄美大島は生き物たちにあふれていて、日頃からその豊かさを感じながら楽しく生活させてもらっています。
Q「平城さんが好きな場所は?」
私の好きな場所は早朝の森の中です。森のあちこちから鳥のさえずりが聞こえてきて、木々の隙間をぬって太陽光が差し込んでくる様子、そういったものがもうなんともたまらなく好きですね。アカヒゲやルリカケスなど奄美大島、それから琉球列島固有の鳥にたくさん出会えることもあります。
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