「都会でいくら便利な機械があっても、この自然の力にはかなわないと思います」
池村茂さん、64歳。徳之島町母間の工房で、ヤコウガイの貝殻を使って工芸品などを作っています。
池村さんは徳之島生まれですが、20歳ごろまでは神戸で生活していました。しかし、祖父母が住む徳之島に通ううちに島の魅力に魅了され、1976年にUターンしました。特に魅力を感じたのは海だったといいます。
「サンゴに囲まれた島ですから、干満によって陸・タイドプールといって大きな潮だまりができる。その浅いところのタイドプールがいざりをしたり、潮だまりに色々な魚がいたりして、一つの生活の場所であったりして楽しいですよ」
そして、サンゴの害となるウンバチイソギンチャクやオニヒトデの駆除にも参加するようになりました。
一方、20年ほど前からは県の希少野生動植物保護推進員になり、海だけでなく山の生き物の魅力にも触れるようになりました。
「山の方はあまり知らなかったのですけど、入れば入るほど素晴らしい。濃いものが感じられて。もちろん海を守るためには山の方も守らなければいけない。そういう感じで入るようになった。
海も山もそして陸の方も素晴らしい。人々も素晴らしい。そういうところに魅了されて現在にいたる」
そうした活動を通して珍しい発見もありました。
「ウサギの白タビって知らないでしょう。井之川岳のすそ野、母間と当部だけに白タビという、後ろ足のつま先が白いグループがいる。子どもから親まで」
後ろ足の先がまるで足袋をはいているように白い“白タビ”と呼ばれるアマミノクロウサギのグループの発見です。
池村さんによりますと、15年ほど前から目撃されていて、詳しい生態はわかっていないものの、数世代にわたって出現している可能性もあります。
徳之島にUターンして45年。池村さんにとって島での暮らしは大切なものになっています。
「夕日が沈んだり朝日が昇ったり、季節によっていろいろな鳥の鳴き声が聞こえてきたり、いろいろな花が咲いていたりというのが本当に何とも言えない。そういうことが体感できるというのは本当に素晴らしいと思う」
そして、徳之島を含む奄美・沖縄4島の世界自然遺産登録は、来月の委員会でほぼ確実に決まると見られていますが、島の魅力をどのように守っていくのか?これからが大切になると話します。
「ゴミの問題とか、いろいろな問題を少しずつみんなに分かってもらいながら、自然を守っていこうというところに自然遺産でも少しは近づけたと思う。
さらに先の本当の島が悪くならないように、保護できるような形で強化しながら島の人にも分かってもらって、みんなで一緒に守っていければいいのかな」
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