元競泳選手でロンドンオリンピック・メダリストの寺川綾さんです。
(寺川綾さん)「未知の世界じゃないですか、なのでどんなことがあるんだろうと新しい発見もありますし、なによりコースロープで区切られていない自由というか、プールには無い魅力が海にはたくさんあって、そういうもので心が洗われるというか、私にとって海とはそういう場所です」
寺川綾さんは大阪府出身。2012年のロンドンオリンピックでは女子100メートル背泳ぎと女子4×100メートルメドレーリレーでともに銅メダルを獲得しました。
7月。屋久島町一湊の海水浴場に寺川さんの姿がありました。この日、海を泳ぐ水泳競技・オープンウォータースイミング大会が開かれ、寺川さんは今回で7回目となる大会の親善大使を務めています。毎年、屋久島の海を訪れ泳ぐのを楽しみにしています。
「めちゃめちゃきれいですね。そこが見えるんですよね、何メートルかあるんですけど。そういった場所で、場所によって見られる魚が違うんですよね、小さい魚がいっぱいいる場所もあれば、長細い魚がしゅーと通り過ぎるときもあって、水族館の上を泳いでいるような感じですね」
天候によって刻一刻と表情を変える自然。寺川さんは屋久島の海を泳いでいるとき、プールでは得られない感動を味わうといいます。
「天気がいい日は透き通っていて魚もいっぱい見られますし、逆に雨がすっごい降っている時は、山から流れてくるので濁っていたりとか、それは自然ってすごいなって。プールではずっとおなじ環境でおなじものが見えているけど、海はそうじゃないので、それは海の魅力のひとつかなと毎年思う。(山からの水が)めちゃめちゃ冷たいんですよね。泳いでいて急に冷たくなる瞬間があって、自然のすごさを感じる」
一湊集落では屋久島の特産・首折れサバが水揚げされます。大会の後、一湊集落の人たちが振舞うおいしいサバ料理も寺川さんの楽しみです。
「すっごい楽しみ。すごく温かい人たちが多いです。それこそお帰りなさいじゃないけど毎回受け入れてくれて、おいしい手料理をたくさん振舞ってくださって、みんながそれを喜ぶ姿を、町の人は喜んでくれているのが伝わってきて、暖かい町だなって毎年それは思います」
(好きな屋久島の料理は)「首折れサバかな~、エビとかもおいしかったな。カメノテも見た目最初これ食べるのと思ったんですけど、食べたらおいしくて、それもびっくりしました。首折れサバもいろんな食べ方があって、それもまた楽しみに。お刺身ももちろん大好きですけど、すき焼きみたいに、卵とじみたいにして出していただいたことがあって、それもすごく大好きです。目の前でさばいてくださったりとか、お店で買うのとぜんぜん違う、人の温かさ、気持ちみたいなものがものすごくこもっているので、きっとおなじ物を別のところで食べても、こっちのほうが絶対おいしいだろうなと思います」
「水泳で行き詰ったときも海にいったりしてたんですよね。もとから海も大好きだったので、現役中に海外で合宿とかはお休みの日に、普段プールで泳いでいるのに海に行って海で泳いだりもしてて、すごく開放感があって。なんだろうな、自分が悩んでいることや行き詰っていることに対して、すごくちっちゃなことのように思える、海に来ると。そういう意味でもすごく助けられている場所でもある。心からリラックスして、毎年くるのを楽しみにしているので、できるだけ長くこの大会続けてほしいと思いますし、参加者も増えて、屋久島の魅力というものを知って帰ってほしいなと思います」