MBCでは今月12日までを国連が定めた持続可能な開発目標、SDGsについて考える「SDGsウィーク」として特集していきます。ニューズナウではSDGsの13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」に着目し、「地球温暖化の防止」について考えます。
今回は、鹿児島から世界に向け、気候変動対策の強化を訴えている大学生の中村涼夏さんに話を聞きました。
鹿児島大学水産学部2年の中村涼夏さん。指宿市生まれの20歳です。高校生のころ、スウェーデンの環境活動家・グレタ・トゥンベリさんに触発され、気候変動対策の強化を求めて全国規模の活動組織「フライデーズ・フォー・フューチャー(FFF)」を立ち上げました。
(中村さん)「世界の若者が立ち上がっていて、『ただごとじゃない』と感じて。気候変動運動をやらなければという衝動に駆り出されて、今も行っている」
大学で学ぶ傍ら、中村さんは街頭に立ち、二酸化炭素を大量に排出する石炭火力の廃止を訴えたり、地球温暖化防止のメッセージをSNSで発信したりしています。また私生活でも、ごみを燃やして地球温暖化の原因となる二酸化炭素を出さないために、使い捨ての商品をなるべく買わないよう心がけていると話します。
(中村さん)「いつも小さな水筒を持ち歩いてる。マイ箸、タンブラーも持ち歩いている」
そして、こだわりは、食生活にも…。
(中村さん)「ご飯も肉系は食べないようにしている。温暖化の一部で畜産は環境ダメージが大きい。牛肉が一番、メタンガスを排出するので」
牛のげっぷには二酸化炭素の25倍の温室効果があるメタンが含まれていて、温暖化防止のために牛肉を食べることを控えるほど強い意志を貫く中村さん。そんな中村さんを友人たちは…。
(友人)「(活動を)強要することは絶対ない。楽しく環境活動をしているのを、見ていていいなと思う」
(友人)「自分たちにもできそうって思う。マイストローを買った」
中村さんの活動が3年目を迎えた今年4月。大きな転機が訪れました。政府が2030年度の温室効果ガスの削減目標=NDCを、2013年度比較で46%にすると発表した翌日、中村さんは国会に参考人として呼ばれることに。
(中村さん)「私はこの数値を聞いたとき、皆さん方大人に『あなたたちの未来と命はない』と宣告されたように感じた。絶望した。若者の声を積極的に聞き入れたい。そんな表面だけの口約束はもう十分です」
強い口調で「46%の削減目標は不十分だ」と訴えました。国会議員の前でも臆することなく主張する一方、中村さんを悩ませているのが、SNSでの誹謗や中傷です。
(中村さん)「(Q.たまに心が折れそうになるときは?)ボキボキに折れている。夜も泣いているときがたまにある。高校生の(FFFを)立ち上げた時は1週間、絶望で3日間、飲み食いできず。体重も減少して学校を休んだり。不安で、不安で。
(Q.強くないといけない?)弱い自分だと、たたかれる」
周囲の大学生同様、繊細な一面を見せる中村さん。それでも未来のために声を上げ続けたいと前を向きます。
(中村さん)「環境NGOで働くことが最終目標。その前に心配しているのが、当たり前のことができないこと。声を上げても傷つけられたり。
気候変動におびえる社会がない、当たり前の暮らしができることを、まずは願っていかないと。それまでも脅かされている未来だと思っている」
20歳の若者が背負う未来への責任。それは、地球に暮らす私たち一人一人にも課された責任でもあります。