MBCでは今週を「SDGsWEEK」としていて、ニューズナウでは二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指すカーボンニュートラルについて特集しています。3回目は、家庭でもできる取り組みを考えます。
地球温暖化の原因の一つとされる二酸化炭素=CO2。国内では2020年度、10億4400万トンが排出されましたが、家庭からがそのうちおよそ16%、1億6600万トンを占めていて、政府は2050年までに7000万トンに減らすことを目標にしています。そのために家庭でできることはあるのでしょうか?
方法のひとつにあげられるのが、毎月の電気やガスなどの使用量を記録して決められた係数をかけることで家庭からの排出量が分かる「環境家計簿」です。鹿児島市の柳井田浩子さんは、「環境家計簿」を20年以上つけ続けていますが、現状把握と目標の設定がしやすくなるといいます。
(柳井田浩子さん)「最初は家計に優しいという理由で始めたが、環境家計簿をつけてCO2が減るとやったと思うし、これだけのCO2が家から出ているというのを認識させられるので、少しでも気を付けていければ」
1世帯あたりの排出量は、平均で年間3900キロ。日本の発電のおよそ8割は大量のCO2が排出される火力発電が占めているため、電力を消費する照明・家電製品などからの排出が、最多の32.4%を占めています。
子どもが独立し、今は夫と二人暮らしの柳井田さん。
(柳井田さん)「これがお弁当セット、朝食セット」
食材や調味料は、使用タイミング別にトレイに分けて冷蔵庫に保管し、冷蔵庫を開け閉めする回数や時間を減らしています。開閉1回につき時間を10秒減らすと消費電力も減り、年間で3キロの削減につながるといいます。
また、照明のほとんどを、白熱電球と比べておよそ85%の削減効果があると言われるLEDに変更。夏場はグリーンカーテンも活用しています。
さらに。
(柳井田さん)「エアコン、電子レンジ、冷蔵庫、テレビ、洗濯機、ドライヤー。全て省エネ家電に替えました」「電子レンジは待機電力がゼロ。ドアを開けたときにスイッチがオンになり、その時に電源が入る」
家電を使っていない時でもわずかに消費される「待機電力」も積み上げれば家庭で消費される電力の5.5%にもなるため、待機電力がかからないなど省エネ機能のある家電を選んでいます。
そして排出削減の取り組みは電力以外でも。例えば、こちらのだしをとり終わっただしパック。このまま捨てるとゴミになるだけでなく水分を含んでいるため焼却にもエネルギーを要します。
そこで、小麦粉、塩を加え、あおのりやちりめんじゃこなど家で余っている好みの食材を入れて焼き上げ、だしのうまみがたっぷり詰まったおせんべいにしました。食品ロスやゴミを減らすことも、家庭でできる大切な対策です。
(柳井田さん)「また1品できるので非常.に重宝している。食品ロス、なるべく食べきるということと、いかに少ないエネルギーで料理ができるかというのを考えている」
こうした家庭での取り組みを後押ししようと、県は昨年度から「九州エコファミリー応援アプリ」の運用を開始。毎月の電気やガスなどエネルギーの使用を記録したり、実践したエコなことにチェックを入れたりするとポイントがもらえ、貯めたポイントで、九州7県の特産品が当たるくじ引きに参加できるため、担当者は、楽しみながら取り組んでほしいと話します。
(県地球温暖化対策室 大小田敦室長)「気軽に取り組めるところから取り組んでいただいて、それが世界を今後救うことになるということを考えながら行動していただければ」
CO2排出量の実質ゼロを目指すカーボンニュートラル。2050年までに実現するためには各家庭での削減が欠かせず、まずは小さな取り組みからでも始めてみることが大切になります。
(大小田室長)「家庭で出来る役割は大きい。ひとりひとりの行動で変えられるものなので、その第一歩をやっていただきたい」