MBCでは今月27日までを国連が定めた持続可能な開発目標、SDGsについて考える「SDGsWEEK」としていて、カーボンニュートラルに関する特集をお送りします。
1回目は「カーボンニュートラルとは何なのか」考えます。
Q.カーボンニュートラルという言葉はご存知ですか?
(70代・主婦)「全然知らない。初めて見た」
(70代・無職)「聞いたような気もするが、意味は分からない」
(30代・会社員)「聞いたことあるような、ないような。知らない」
(30代・パート)「言葉だけ聞いたことがある。(Q.意味は?)意味はあまり…」
耳にしたことはあっても、はっきりとは知らない人も多いカーボンニュートラル。その意味を、環境省のカウンセラーも務める鹿児島県環境技術協会の清水建司さんに聞きました。
(県環境技術協会 清水建司さん)
「カーボンは二酸化炭素。それをニュートラル、中立にする。二酸化炭素の排出量が地球温暖化につながっていて、ゼロに持っていくことは難しい。どうしても残ってしまう二酸化炭素があり、例えば森林の吸収でプラスマイナスをゼロにする」
異常気象などを引き起こす原因の一つとされる地球温暖化。車や工場などから排出される二酸化炭素をはじめたとした温室効果ガスの増加が影響しているとされますが、ゼロにするのは難しいことから、排出量に応じて二酸化炭素を吸収する植物を植えるなどして、プラスマイナスゼロにするという考え方がカーボンニュートラルです。
政府は2013年度に14億800万トンだった温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロ、カーボンニュートラルにすることを目指しています。
鹿児島でもこうした動きは進んでいて、環境省によりますと、先月末時点で、県と鹿児島市、大崎町、宇検村など22の市町村が2050年までの実現を目標に掲げています。
それを実現させるためには、「まず自分たちがどれだけの二酸化炭素を排出しているかを知ることから始まる」と清水さんは話します。
全国地球温暖化防止活動推進センターによりますと、日本人1人当たりの二酸化炭素の排出量は、2020年度は1840キログラムでした。
日本の発電のおよそ8割は大量の二酸化炭素が排出される火力発電が占めているため、排出量の内訳は、電力を消費する「照明・家電製品など」が597キログラムで最多になりました。次いで排気ガスなどを出す「自動車」が417キログラムでした。
各家庭での排出量は、環境省のホームページの「うちエコ診断」のページで確認できます。排出量を減らすには、照明を蛍光灯と比べて消費電力が少なく、長持ちもするLEDにしたり、ガソリン車からハイブリット車や電気自動車に変えることも有効ですが、発電なども考えると排出量がゼロになるわけではありません。
そこで、日常生活でどうしても出てしまう温室効果ガスの排出をカバーしようと、国などが進めているのが「カーボン・オフセット」という仕組みです。
(県環境技術協会 清水建司さん)
「森の木は育つ時に空気の中の二酸化炭素を吸いながら体を作っていくから、木が育てば育つほど二酸化炭素の量は減る。森の手入れを強化するために人手やお金が必要。お金を提供したことが二酸化炭素を森の木に吸ってもらって減らすことにつながる」
カーボン・オフセットとは、植林など排出量に見合った二酸化炭素の削減活動に投資することで排出量を実質ゼロにする考え方です。
その一つ、県が運営する「かごしまエコファンド」では、森林整備事業に3000円を支払うと二酸化炭素を1トン削減したとみなされます。こうした制度を活用して、最終的に「排出量実質ゼロ」のカーボンニュートラルにつなげようというのです。
(県環境技術協会 清水建司さん)
「照明をLEDに替えるのは、スイッチはいつも通り入れていても省エネになる。ゼロカーボンにつながる仕組みを意識的に入れながら、地球全体の二酸化炭素を減らすための心掛けをしていかないといけない」
2020年度の国内の温室効果ガス排出量は11億5000万トンで、前年度と比べて5.1%減りました。そして、森林などでの吸収量4450万トンを引くと11億600万トンで、2013年度と比べて21.5%減りましたが、2050年までのゼロにはまだまだ排出を減らし、植林などの取り組みを進めていく必要があります。
そのためには、まず、一人ひとりが現状を知ることが大切な一歩になります。