今週も西郷さんが遺した教え、「西郷南洲遺訓」からご紹介しています。
今日は第12条「西洋の刑罰に学ぶべきこと」という教えです。
むごい扱いを避けて、人を善良に導くことを目的としている。
だから、獄中の罪人であっても緩やかに取り扱い、教訓となる本などを与え、
場合によっては、親族や友人の面会も許すと聞いている。
もともと昔の聖人が、刑罰というものを設けられたのも、忠孝仁愛の心から、
孤独な人の身の上を憐れみ、そういう人間が罪をおかしてしまうのを、深く心配されたからだ。
だが、実際の刑罰の場で、今の西洋のような配慮が行き届いていたのかどうか。
中国の古い書物には見当たらない。
西洋のこのような点は、誠に文明だ、とつくづく感ずるところである。
昨日ご紹介した第11条では、西欧列強による植民地主義を批判し、「西洋は文明ではない」と唱えていた西郷さん。しかし、西洋の「囚人への対応」には学ぶべき点があり「まさに文明」と称賛しています。
単純に西洋嫌いで、西洋を批判するだけではない柔軟な考え方を持っていることがよくわかります。
実際、西郷さんは、自らが信頼していた初代大警視、現在の警視総監にあたる川路利良をフランスへ派遣し、警察制度や裁判、刑法などを学ばせています。
これまでも、人を大切に思う気持ちを大事にしてきた西郷さん。それが罪人であっても、罪を憎んで、人を憎まずという考え方であることを感じます。