薩摩の教え

西郷南洲遺訓 第12条「西洋の刑罰に学ぶべきこと」

今週も西郷さんが遺した教え、「西郷南洲遺訓」からご紹介しています。
今日は第12条「西洋の刑罰に学ぶべきこと」という教えです。


西洋の刑法はもっぱら、罪を再び繰り返さないようにすることを根本の精神として、
むごい扱いを避けて、人を善良に導くことを目的としている。

だから、獄中の罪人であっても緩やかに取り扱い、教訓となる本などを与え、
場合によっては、親族や友人の面会も許すと聞いている。

もともと昔の聖人が、刑罰というものを設けられたのも、忠孝仁愛の心から、
孤独な人の身の上を憐れみ、そういう人間が罪をおかしてしまうのを、深く心配されたからだ。

だが、実際の刑罰の場で、今の西洋のような配慮が行き届いていたのかどうか。
中国の古い書物には見当たらない。
西洋のこのような点は、誠に文明だ、とつくづく感ずるところである。


昨日ご紹介した第11条では、西欧列強による植民地主義を批判し、「西洋は文明ではない」と唱えていた西郷さん。しかし、西洋の「囚人への対応」には学ぶべき点があり「まさに文明」と称賛しています。

単純に西洋嫌いで、西洋を批判するだけではない柔軟な考え方を持っていることがよくわかります。

実際、西郷さんは、自らが信頼していた初代大警視、現在の警視総監にあたる川路利良をフランスへ派遣し、警察制度や裁判、刑法などを学ばせています。

これまでも、人を大切に思う気持ちを大事にしてきた西郷さん。それが罪人であっても、罪を憎んで、人を憎まずという考え方であることを感じます。

自分の生まれた国がより良い方向に進むために、取り入れるべきことは取り入れていくという研究心、そして西郷さんの温かさや人情味を改めて感じる遺訓でもありますね。

西郷南洲遺訓 第11条「真の文明とは何か」前のページ

西郷南洲遺訓 第13条「安易な増税をしてはならない」次のページ

関連記事

  1. 薩摩の教え

    西郷南洲遺訓 第6条「一芸に秀でた人材の活用法」

    明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さ…

  2. 夏休みこども企画

    夏休みこども企画「夏休み親子歴史教室」④

    今月は夏休みこども企画と題して、子供たちの声をお届けしています。今週も…

  3. その他

    妙円寺詣り その2

    今週は、10月の27日(土)・28日(日)に行われた「妙円寺詣り」に参…

  4. 薩摩の教え

    郷中教育の「学び」について③

    明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さ…

  5. 薩摩の教え

    郷中教育23

    今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。薩摩の…

  6. いろは歌

    いろは歌「あ」(36番目の歌)

    きょうは、いろは歌の36番目の「あ」の歌をご紹介します。あきらけき …

PAGE TOP