薩摩の教え

遺訓を読む時の心得~加来耕三さんのお話⑤

明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学んでいるこの番組。今週から、西郷さんの残した教え、「西郷南洲遺訓」に入りました。歴史家の加来耕三さんによる導入篇、今日が最後です。

 

明治維新において、西郷さんがトップである・・・ということは、誰も疑問視しない。何故か?
それは、西郷さんだけ私利私欲がないから。ほかの人間たちにはみな、それぞれの思惑とか、立場とか、いろんなものがある。それは即ち人間を相手にしていること。

しかし、西郷は天を相手にしている。頭の中にあるのは「天」(亡くなった島津斉彬)の言った中央集権化を達成する(新しい国づくりをする)ということだけ。
西郷は、その最短距離を選ぶだけでよかった。つまり、誰が何を言っているかを聞き、一番それ(国を作ること)に近いものを選べばよかった。これができたのが西郷だけだった。

日本人は負け戦に学ばない。パーフェクトな勝ち方だけが好き。ものを突き詰めて見ないし、何も学ばない。だから、南洲翁遺訓を読んでも、西郷さんほど自分を突き詰めて自分に厳しく、悟りの世界に行くことができる人がどれほどいるか。。。

まずは、西郷がこの(遺訓の)台詞を吐けるようになったのは、どういう環境の時であったのかを知ることが大事。時間があるなら沖永良部島に行ってみたら…(銅像も牢獄も再現されている)。
そういう中で追い詰められて、自分と向き合わざるを得なかった西郷さんの境地を想像してみて。

人は誰でも、自分の成功や利益を考えるが、西郷はそんなことは考えるなと。天(上)から見たときに、公明正大であるならやれ…と言っている。
我々凡人が近づくためには、よほど自分を省みて西郷さんの精神に学ばないと、「論語読みの論語知らず」になるのでは?

常に自らに置き換えて、具体的に事例を思い浮かべて読めるかどうかが重要。。。

 

いかがでしたか?遺訓を読むにあたっての心得もお伺いしましたので、いよいよ来週からその内容に迫っていきたいと思います。

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