ふるさと考古歴史館蔵出し収蔵品展

2月4日まで鹿児島市下福元町の「ふるさと考古歴史館」で開催されている

「蔵出し収蔵品展」について、学芸員の中村友昭さんにうかがった。

 

ふるさと考古歴史館は、鹿児島市内の遺跡の発掘調査で発見された

土器や石器などの出土品の他に、市民から寄贈された資料も収蔵している。

 

その種類は多岐に渡るが、どれも寄贈した方が大事に使用し、保管してきたもの。

今回は、これらの寄贈品286点を、人形や玩具、生活用具といった種類ごとに

初めて一斉に展示する企画展となっている。

 

鹿児島独特の玩具の中に、霧島市隼人町の鹿児島神宮に由来する伝統的な玩具があります。

その代表ともいえる「鯛車」は、海幸山幸の神話に基づくもので、鮮やかな赤・黄色で彩られ

た木彫りの鯛に四個の車輪がつけられている。今回は、大小様々なサイズの「鯛車」を展示。

 

また、サルの顔を竹のバネで弾く「はじき猿」やセキレイという名の鳥を模したカラクリ玩具

である「シタタキノタロジョ」といった、伝統的玩具も展示。

一部は、手で触れて動かせる体験コーナーを設けて、子供にも大好評なんだとか。

 

ほかに、薩摩発祥の漁具・イカエギの展示も。

ミズイカを釣る際に使われた疑似餌を「イカエギ」というが、鹿児島弁ではイカエドと言い、

江戸時代の終わり頃から使用され始め、明治時代に大流行した。

昭和前半期頃まで使われた鹿児島発祥の疑似餌で、

木材をエビの形に加工し、お尻につけた真鍮のカギでイカをとらえるもの。

お腹には“おもり”として、江戸時代のお金である寛永通宝が数枚挟み込まれている。

今回展示してある「イカエギ」には、火であぶってつけられた独特の模様や、

エビそっくりの曲線美など、随所に匠の技を見ることができる。

漁具としてだけでなく、美術工芸品としての側面も併せ持つ「イカエギ」の魅力をじっくり見たい。

 

また「糸雛」と呼ばれる紙製の人形も展示。

半分に割った竹の棒に、鮮やかな色や絵が描かれた和紙を貼り付けることで着物を表現した、

鹿児島独特の雛人形だ。

注目すべきは、和紙の部分の裏地に新聞紙が利用されているが、

そのほとんどが明治時代に発行されたもの

これだけ古い「糸雛」は県内でもほとんどなく貴重な資料といえる。

 

 

開館時間は午前9時から午後5時まで

休館日は月曜日、月曜日が祝日の場合はその翌平日が休みとなる。

 

「ふるさと考古歴史館蔵出し収蔵品展」は入場無料

なお、常設展示室は有料で、高校生以上は300円、小・中学生は150円

 

問い合わせ 099-266-0696

 

 

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