【#28】奄美いんまや動物病院 獣医師・伊藤圭子さん
今週もお聞き頂きまして、ありがとうございました。
「日本を元気に!あなたの街のささえびと」リポーターの鶴園直子です!
このコーナーでは、「私たちの日常を支える人」すなわち“ささえびと”。
地元や地域、街を盛り上げ、元気にしようと頑張っている“ささえびと”をご紹介します。
今日の舞台は、奄美大島龍郷町に2年前に開業した動物病院、
「奄美いんまや動物病院」です。
こちらを切り盛りするのは、獣医師 の 伊藤圭子さん です。
実は伊藤さん、動物病院での診療はもちろん、
2か月に1回喜界島へ、そして2~3か月に1回加計呂麻島まで「出張診療」に出向いていらっしゃるんです。
今日は「島の動物たちと飼い主さんを支える人」ご紹介します。
実は元々、奄美いんまや動物病院は「移動診療車」という形からスタートしました!
喜界島などは、牛の先生はいるけど、犬猫の先生がいない・・・。
犬猫の病院自体がないので、定期的に診療へ行ける体制を取りたいというのが、開業時からの目的でもありました。
喜界島と加計呂麻島に定期で行くという前提があったので、
業者さんと相談の上、
ハイエースを改造した「診療車」として、建物より先に整備をしました。
- ハイエースを改造した「診療車」
- 行き帰りの車内はこんな感じ
この診療車には、薬や麻酔器、血液検査、診察台なども載せているので、
地域の公民館などの場所をお借りして、
車内を診察室・手術室のようにして、そこで診察や手術などを行なっています。

宝島診療中・・・
離島への出張診療を始められたきっかけは・・・?
奄美大島に来て勤務医をしている頃でも、喜界島や各離島からの来院があり、
普段病院がないことでできることが限られている、困っているということは聞いていました。
また船に乗せて動物を連れてくる必要など、手間もかかるので、
猫が増えてしまって連れていくこともままならず、多頭崩壊状態になりかけているのも聞いていたので、
来てもらうより行かなければ解決できない問題が多いことを感じたためです。
離島への出張診療では・・・?
喜界島ではおおよそ4日間の診療で、手術は30件前後、診察も30件ほどしていると思います。
内容は、特別難しい病気や特殊なことをしているわけではありません。
手術はほとんどが猫の不妊去勢手術、他は普通にワクチンや予防がほとんどです。
病院が普段ないということは、その普通ができないということなんです。
実際に出張診療をされて感じること。
動物病院が当たり前にないこと、相談先がないことは、飼育意識や「当たり前」が前提にないことになります。
動物を飼い始めたら病院にまずかかるという概念もないですし、病気について相談する先もない。
どうぶつも病気をする、予防があることすら知らないくらいです。
イヌは外で繋いで飼う、猫は外で勝手に出ていってそのうち帰ってこなくなる、そのくらいの概念です。
離島に出向かれるようになって、島の皆さんの変化も・・・!
喜界島などに通うようになって3年目、
「ネコを飼い始めたので受診したい」「飼い始めたので何をしたらいいか相談したい」など、
スタートからかかってくれる方も増えてきました。
そういったスタートから始められることで、
各種予防、不妊手術や室内飼育など適切な飼育ケアを支えられるようになりつつあると思います。
これからどのように、島の動物たちや飼い主さんを支えていかれたいですか?
動物病院は病気になって初めてかかる場所ではなく、健康であるためにある場所です。
当たり前に病院にかかる、家族として動物を飼う、予防をする。
その当たり前が当たり前であり続けるように支えられればと思っています。
古い飼いかたというのは今の時代からすると、動物のためになっていないものが多いです。
少しずつでも意識を改善していってもらえるように通い続けることが大切だと思っています。