• HOME
  • 特集 , 特集・レポート
  • 【MBC賞】地域の人たちと地域課題に取り組む一般社団法人「RIVERBANK」 グッドネイバーズ・ジャンボリー開催

【MBC賞】地域の人たちと地域課題に取り組む一般社団法人「RIVERBANK」 グッドネイバーズ・ジャンボリー開催

MBCでは毎年、地域社会の発展に貢献し、今後の活躍が期待される団体や個人にMBC賞を贈っています。ことしの受賞者を紹介するシリーズ1回目は、南九州市の一般社団法人「RIVERBANK」(リバーバンク)です。

(リバーバンク代表理事 坂口修一郎さん)「この木の下にステージを組んでツリーハウスをイベントのときは作る」

鹿児島県南九州市川辺町にある「リバーバンク森の学校」。廃校になった旧長谷小学校を再生した複合自然体験施設です。2010年から音楽ステージやアート、食などを楽しむイベント「グッドネイバーズ・ジャンボリー」を開いています。

企画したのは、一般社団法人「RIVERBANK」の代表理事・坂口修一郎さん(52)、鹿児島市出身のミュージシャンです。開催場所を探していたとき、旧長谷小学校と出会いました。

(リバーバンク代表理事 坂口修一郎さん)「山の中で家が周りに一軒もないので、音を出しても大丈夫だった。そこから」「文化祭みたいなことをやりたかった。楽しそうだなと。わりとシンプルにそれだけ」

転機が訪れたのは、熊本地震が発生した2016年。戦前に建てられた旧長谷小学校の耐震性が懸念され、取り壊しの議論が加速したのです。

なんとか学校を残そうと地域を歩き回るうちに、住民との交流が深まり、地域の将来を考えるようになったという坂口さん。2018年、地域住民と一緒に課題に取り組むリバーバンクを立ち上げました。

(リバーバンク代表理事 坂口修一郎さん)「一番最初はここが教室だった」

築90年の木造校舎は壁などを修復して、イベントスペースに。隣りの鉄筋校舎は、宿泊施設に生まれ変わり、自然体験やキャンプもできます。

(リバーバンク代表理事 坂口修一郎さん)「壊すのは本当に一瞬でできる。壊してしまうと、ここに学校があって風景があったことが全部失われてしまう。可能な限り記憶を残していくことができたらいい」

去年4月には旧川辺中学校をリノベーションした「タノカミ・ステーション」をオープン。「地産地消」がテーマのレストランや、コワーキングスペースを備えます。今年7月にはビール工場もオープンしました。

責任者は、鹿児島市出身の大重絵理さん(41)。「グッドネイバーズ・ジャンボリー」に店を出していたのが縁で、メンバーに加わりました。

「グッドネイバーズ」は「良き隣人」の意味。大重さんは鹿児島市在住ですが、今年中に店の近くに拠点を設ける予定です。

(タノカミ・ステーション責任者 大重絵理さん)「その土地を深く知れば知るほど、その土地に何が足りないかや、もっと自分が役に立てたらいいのにと、関わりが増えていく」

Q.まさに「良き隣人」になった?
(タノカミ・ステーション責任者 大重絵理さん)「良き隣人。そうかもしれない」「良き隣人が隣人になり、家族になった」

大重さんの拠点は現在、空き家を改修中で、これもリバーバンクの活動の大きな柱です。

(陶芸家 岩切秀央さん)「これは僕が作っているオブジェ、作品です」

(ジェフリー・アイリッシュさん)「割れたらいかんね。石を作っているみたいなものだよね」

ジェフリー・アイリッシュさん(62)はアメリカ・カリフォルニア州出身で、25年前に南九州市に移住。鹿児島国際大学教授で、民俗学などを研究しています。

リバーバンクでは、空き家改修の取り組みを担当。地域とつながりを強みに移住希望者との橋渡し役を担っています。現在18件目の空き家を改修中で、この5年間で40人が移住しました。

陶芸家の岩切秀央さんも、ジェフリーさんが紹介した家に2年前に妻と移住。去年、子どもも生まれました。

(陶芸家 岩切秀央さん)「やっぱり安心して住めるし、相談もできる」

(ジェフリー・アイリッシュさん)「(空き家を)魅力的なものとして見直してほしい。地域の空き家への考え方が変わっている。5年だけでここまで変わったから。これから先が見えないところが不安ではなく、逆にワクワクするもの。先が見えなくて楽しみ」

(リバーバンク代表理事 坂口修一郎さん)「日本中にこういう(過疎の)場所がいっぱいあると思うが、このままだと暮らせなくなる。若い世代はどんどん街の方に移っていくと(暮らしの)選択肢が失われていく。日本中のあちこちに、こういった場所があれば良いと思うので、その中の一つの例になれば」

リバーバンクの地域の人たちと未来をつくる活動は続いていきます。